久野教授はさらに、「平均的な活動量」のデータとしてはコロナ前後で変わっていないように見えても、コロナ下で運動を始めた人と動かなくなった人で二極化していると現状を見る。AERAが行ったアンケートでもその傾向が見られた。

 体を動かすことを意識せずに在宅勤務をして一日中外に出なければ、会社に通勤していた時に比べて、運動量はぐんと落ちる。1日の歩数が数百歩ということもざらになるだろう。

「これはコロナ前の勤労者においては考えられない歩数です。会社勤務で確実に保証されていた活動量が、ものすごく消える。これが1年、10年と続いたときの体への影響は計り知れない」(久野教授)

 外に出れば、信号が変わって走ったり、駅で階段を上ったり。日常生活の中でも筋肉に強い負荷がかかる場面があるが、室内ではそれがほとんどない。筋肉量の減少はウォーキングだけでは抑制できず、筋トレも必要だという。(編集部・高橋有紀)

AERA 2021年2月15日号より抜粋