「1曲1曲、一つ一つの詞が俺らからのメッセージ」と構成されたセットリスト。ラストは多幸感溢れる大ヒット曲「Love so sweet」を届けた
「1曲1曲、一つ一つの詞が俺らからのメッセージ」と構成されたセットリスト。ラストは多幸感溢れる大ヒット曲「Love so sweet」を届けた

 2020年12月31日、アイドルグループ嵐が活動休止前のラストライブ「This is 嵐 ライブ 2020.12.31」を東京ドームで行った。コロナ禍で無観客開催となったが、ネット配信で世界中のファンが見守った。AERA 2021年2月1日号から。

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 配信が始まると嵐コールが響いた。事前に集められた本物のファンの声だ。

 ド派手な舞台装置に目を見張る。メインステージの両脇には巨大なLEDスクリーン。セットの裏にも最新テクノロジーが導入されたステージが建て込まれ、照明とレーザー演出のみの鏡張りの部屋、現実と仮想世界を融合させたXR演出専用の部屋など五つのステージを用意。曲によって使い分け、圧巻のパフォーマンスで魅せた。

 なにより印象的だったのは、無観客とは思えない「ファンとの一体感」だ。冒頭の「コール」を始め、「A・RA・SHI」「Happiness」「感謝カンゲキ雨嵐」「Love so sweet」など、ライブでおなじみのコール&レスポンスも、本物のファンの声が嵐と掛け合った。さらに「一緒に踊ろうぜ!」という二宮和也(37)の掛け声で始まった「GUTS!」では、事前に集められたファンの振り付け動画がスクリーンに映し出され、メンバーと“振り付け共演”を果たした。場内に設置された88枚のパネルスクリーンには、抽選で選ばれたファンがリアルタイムで映し出され、画面越しに嵐と交流できる最新技術も導入。とにかくファンの顔がよく見える。そのせいか、本物のライブに参戦している気分になるのだ。しかも最前列の神席で。

■特設サイトで準備

 そんなファン参加型、ぬくもりのあるライブが実現できたのは、嵐が事前に「みんなで準備だ! TV」という特設サイトを準備し、自らコールや歌声、振り付け動画の企画を知らせ、どうすれば参加できるか丁寧にレクチャーしてきたからだ。松本潤(37)や櫻井翔(39)が白衣姿で講師に扮(ふん)し、他のメンバーに教える動画は11回も配信され、ファンを楽しませてきた。多忙を極める彼らだが、最後の最後までファンに寄り添った。

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