役者としての転機は「ちはやふる」でした。多くのことを学んだ現場でしたし、いまがあるのも、あの現場があったからこそだと思っています。具体的に言葉にするのは難しいのですが、「つかめたな」という瞬間が、確かにあったんです。「ちはやふる」が、日本での活動の原点だと思っています。

——順調にキャリアを積んできたように見える。だが、演じるときは、常に壁にぶつかるのだという。

新田:毎回、新しい役に挑むときは、なにかしらの壁を乗り越えなければならないと思っています。その作業は、どんな作品でも同じです。監督がOKをくれても、「自分はもっとやれるのに」と、納得できないと感じるときもある。でも、そういうときに「次はやれるようにしよう」と思うことが大切なのかもしれないと思っています。

——5月から拠点を国外に移し、海外作品の映画撮影に参加する。新田本人は、演じてみたい作品があれば世界中どこにでもオーディションに行くスタンスだ。

新田:日本も海外も関係なく、役者として活躍したいと考えています。ただし、日本も海外も同じ土俵だとは思っていません。環境も言葉も、文化的な背景も違います。そのそれぞれに良さがあり、難しさがある。

 海外と日本では演技の仕方も違います。それぞれの状況に合ったものを表現しないと、通用しない。アメリカの演技にはオーバーなイメージがあるかもしれませんが、実は日本より繊細な面もありますし、会話は自然なんです。僕にとっては、日本の芝居のほうが少し特殊に感じています。日常的な会話のトーンで芝居の会話をすることがあまりなくて、ちょっと「いまにも変身しそうな感じ」というか、“演劇”っぽくなってしまいがちで、難しい。だから、これから演じてみたい役は「普通の人」です(笑)。等身大の24歳の若者役って、ありそうでないんですよね。自然な芝居で、普通の人を演じてみたい。

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