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名作ゲーム『MOTHER』のサントラ盤が鈴木慶一による新録で登場

連載「岡村詩野の音楽日和」

岡村詩野AERA#岡村詩野
『MOTHER MUSIC REVISITED』のジャケット(写真提供:日本コロムビア)

『MOTHER MUSIC REVISITED』のジャケット(写真提供:日本コロムビア)

鈴木慶一氏(写真提供:日本コロムビア)

鈴木慶一氏(写真提供:日本コロムビア)

 任天堂が1989年に発売したファミリーコンピュータゲーム「MOTHER」。糸井重里が企画し、シナリオの作案などを手がけたことでも知られるこのロールプレイングゲームは、発売から30年以上が経過した今も、ゲーム好きだけではなく、幅広い層にアピールし続けている。2015年にはアメリカやヨーロッパで配信販売され、登場人物のグッズも人気だ。

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 主人公が仲間たちと冒険を繰り広げる感動的なストーリーや、アメリカを思わせる架空の町を舞台にした設定、キャラクターや仲間、敵たちの個性はもちろんのこと、どこか人を食ったような飄々(ひょうひょう)とした雰囲気やセリフなどが奇妙に融和したその世界は、当時の家庭用ゲームとしては独特だった。真っ赤な背景に金色で「MOTHER」とだけプリントされたパッケージも相まって、子ども以上に大人が楽しめるゲームとしてシリーズ化されている。

 そんな『MOTHER』が今なお不朽と言われる理由の一つが、鈴木慶一と田中宏和が手がけた音楽だ。糸井重里と交流のある鈴木慶一は当時、バンドの「はちみつぱい」を経て、ムーンライダーズとしてキャリアを重ねていた。だが、『MOTHER』の制作はイギリスでレコーディングをするなどの初トライが多かった。基本的に1人で作業をした点も含め、その後の鈴木のソロ・ワークの出発点になるような仕事だったと言っていい。

 一方、常に新しいことに挑戦することを信条とする「ひねくれ者」の鈴木が、彼の原点である素直なメロディーをつづった異例な作品とも言える。それを端的に表しているのが、心に残る温かい旋律が印象的な「EIGHT MELODIES」だ。子どもでも覚えられるほどわかりやすく短い旋律は、八つのメロディーを冒険しながら集めていくというゲームのストーリーになぞらえたもの。集められたメロディーをつなげた時に、この曲が完成するのである。後に音楽の教科書に採用されたこの曲が、『MOTHER』の世界を表情豊かに彩り、また独立した音楽作品にも導いた。

 もっとも、本作が最初に制作された80年代終盤、まだゲーム音楽の現場では音楽との折り合いに制限があり、ビット数の割り当てでは映像を優先した。鈴木が作った曲をゲーム音楽として変換作業をしたのが、任天堂に当時在籍していた田中宏和だった。ファミコンの音楽を数多く手がけ、その後も『ポケットモンスター』シリーズの楽曲などを手がけた田中と二人三脚で完成させたのが、『MOTHER』の音楽だったのである。


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