栄東中学の入試では、受験生たちの机にアクリル製の仕切りを設けていた/1月10日、さいたま市 (c)朝日新聞社
栄東中学の入試では、受験生たちの机にアクリル製の仕切りを設けていた/1月10日、さいたま市 (c)朝日新聞社

 コロナ禍で中学受験シーズンを迎えた。例年にも増して不安が募るだろう。通塾はどうしたらいいか、受験校を絞ったほうがいいか、親たちの不安は尽きない。AERA 2021年1月25日号から。

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 今年も中学受験シーズンがやってきた。首都圏では、もはや風物詩となっている6千人の受験生が集う栄東中学(埼玉)の1月の入試を皮切りに、2月がメーンとなる東京都内の入試まで、小学生たちの受験本番が続く。

 なんといっても今年最大の不安要素はコロナ禍の影響だ。自粛期間中は塾の授業も混乱、大学入試同様に、前半での学習時間の確保が難しかった受験生たち。しかし、半数以上の大学で出題範囲を狭めるなどの対応が取られた大学受験とは異なり、出題範囲を狭める学校は少なく、各校とも例年通りの試験となる見込みだ。

 都内で男子御三家を目指す子どもを持つ家庭では、家族全員が手洗い・うがいを徹底、ウイルスを家に持ち込まないように心がける。普段通りの生活を送らせようと、入試直前まで学校に行かせるつもりでいたが、緊急事態宣言を受けて気持ちが変わったと40代の母親は話す。

「感染が心配で、試験2週間前からは学校を休ませようかと。ただ、通塾をどうするか。Zoomでの受講も選択できると言われていますが、前回の緊急事態宣言中はオンライン授業になったらやる気がダダ下がりだったんで、考え中です」

■「お試し受験」減らず

 都内在住で女子学院など最難関を目指す子を持つ50代の母親も、通塾と感染防止の両立に四苦八苦している。

「普段の冬期講習ではお弁当を持って午前も午後も教室で受けるスタイルでしたが、今年はオンライン授業と教室授業を選べるようになっていました。うちは外での飲食を控えさせたかったので、午前クラスだけ教室で受けて帰宅させ、午後クラスは自宅から受講させました。とにかく、感染リスクを下げるために、できることをするという感じです」

 感染リスクを避けるため、こうしたオンライン通塾を選択する家庭の増加を見た専門家の中には、都内入試組が、本命とは別に1月中に“お試し受験”するという例年の傾向が減るのではとの意見もあったが、どうやらそれはなさそうだ。

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