——―小さなことでも自分にできることをやってみようと動きだした。それはなんと坂本流“ウーバーイーツ”。

坂本:自粛や緊急事態宣言で飲食業界からの怒りや悲鳴、悲痛が多く届いていました。知り合いの店や友達も心配だった。「そうか、それなら自分でテイクアウトをしてみんなに届けに行こう!」と思い、電話して「いる?」と聞いて、届けに行ったんです。お店の人たちの笑顔が見られたことが、前を向くモチベーションにつながったかもしれません。

 コロナ禍を経て、“当たり前にあることなんてないんだ”と感じるようになりました。すると、何に対しても感謝の気持ちと、喜びが生まれる。日々の小さなことに対しても自然と明るく、笑顔になれる気がするんです。

——―今年50歳。舞台人として、変わらぬ挑戦を続けていくつもりだという。

坂本:緊急事態宣言後に、初めて見たのが後輩のNEWSの増田(貴久)君が主演するミュージカル「ハウ・トゥー・サクシード」だったんです。見ながら「やっぱり、これだよな!」と確信を持ちました。舞台とはかたちではない何かを、みなさんの心のなかに届けること。生でしか味わえない瞬間を楽しみにしてくれているお客さんに全力で届ける。そのためにできること、やらせてもらえることをすべて作品にぶつけたい。それをすることが自分の使命であり、信念でもあると、改めて思っています。

(フリーランス記者・中村千晶)

AERA 2021年1月18日号