と語る本城さんは、砂糖を作る過程で捨てられる廃糖蜜から作った「モラセスシロップ」を愛用している。朝は米麹から作った甘酒と豆乳を半分ずつ入れたものに、モラセスシロップやオリゴ糖を入れて飲むことが多い。カフェインは体を冷やす働きがあるので、冬はできる限り避けているという。コーヒーが欲しくなったらカフェインレスの穀物コーヒーを飲んでいる。

 注意点はもう一つある。ここまで“温める”を連発してきたが、体は温めれば温めるほどいいというものでもないらしい。

「もともと暑がりの体質の場合、体を温めてばかりいると、にきびや吹き出物ができる原因になったり、血圧を上げてしまう副作用もあります」

 と、パンダマークを掲げた日本中医薬研究会所属の漢方薬局・薬店向けに漢方製剤を販売しているイスクラ産業の陳志清(ちんしせい)副社長(58)。陳さんは薬学博士でもある。

「冷え性の人にシナモン、しょうがなどはいいのですが、上半身のほてり、発汗があるホットフラッシュに悩んでいる人などは、クコの実やウコギ科の西洋人参などの“熱を排出する食材”も採り入れたほうがいいでしょう。体を温めすぎて、熱が体内にこもると便秘にもなりやすい。バランスが大切なのです」

 免疫力アップの漢方薬、漢方系ドリンクは補助的な位置づけを心がけたい。薬や飲み物の前に「十分な睡眠・健康的な食事・適度な運動」と、今回取材したプロ全員が発言していた。(ジャーナリスト 安住拓哉 編集部・中島晶子)

AERA 2021年1月18日号より抜粋

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中島晶子

中島晶子

ニュース週刊誌「AERA」編集者。アエラ増刊「AERA Money」も担当。投資信託、株、外貨、住宅ローン、保険、税金などマネー関連記事を20年以上編集。NISA、iDeCoは制度開始当初から取材。月刊マネー誌編集部を経て現職

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安住拓哉

安住拓哉

出版社勤務を経て2021年に独立。経済関連記事全般が得意。取材・執筆歴20年以上。雑誌の取材記事の他、単行本のライティングも数多く手掛ける。

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