入浴も、体を温める上で重要だ。38~40度のぬるめの湯に肩まで20分ほど浸(つ)かる。「冷え解消には半身浴」との説もあるが、川嶋さんは反対する。全身浴で首から下が湯に浸かれば、全身の血流が良くなり、冷え解消に役立つ。一方、半身浴は心臓に負担をかけたくない人向けで、冷え解消には向いていない。ぬるめの湯にゆっくり浸かれば、副交感神経が優位に働き、質の良い睡眠が取れる効果もある。ちなみに、質の悪い睡眠が肥満を招くことは複数の研究で証明されている。

 健康を維持するには、旬の食材を摂(と)ることも覚えておきたい。今なら、冬が旬の大根、白菜、小松菜、ゴボウ、春菊、ネギ、ホウレン草など。薬日本堂漢方スクールで講師を務める劉梅さん(中医師)は、「冬は特に、体を温める必要があります。生野菜や体を冷やす食材をたくさん摂るのは避けてほしい。寒いところで取れる食材には体を温めるものが多い。冷やす食材は、熱して温かくして食べることをお勧めします」と言う。

■体を温める作用の羊肉

 東洋医学では、食材には体を温めるものと冷やすものがあると考え、それらの段階を大きく分けて「熱性、温性、平性、涼性、寒性」の五つで表している。これらを「五性」という。熱性と温性の食材は体を温め、新陳代謝を高める。平性の食材は温める、冷やすのどちらも顕著ではないものだ。涼性と寒性の食材は体の熱を冷まし、新陳代謝を鎮める。

「旬の食材でも、例えば大根や小松菜は涼性、白菜は平性ですが、鍋などにして生姜(しょうが)、唐辛子、山椒(さんしょう)などと合わせると、体を温めるように働きます」(劉さん)

 この数年、和洋中ジャンルを問わず、おいしい羊肉を出す店が増えている。羊肉は、昔から寒い地方でよく食べられてきただけあって熱性の食材で、肉の中でも体を温める作用が最も強いと言われる。しかも、羊肉にはカルニチンというアミノ酸が豊富で、細胞の中のミトコンドリアに材料を運ぶ役目を果たし、エネルギーを燃焼させる。つまり、ダイエット中にはもってこいのお肉とされる。さらに東洋医学では、冬は黒豆など黒い食材を食べると「腎」が活性化され、若々しく元気な状態を保てると言われている。

 最後に、劉さんが日常に採り入れる「ちょい足し」として教えてくれたのが、新陳代謝を良くするお茶だ。

「プーアール茶1グラム、杜仲(とちゅう)0.1グラム、ハスの葉(0.1グラム)、金蓮花(きんれんか)1個を合わせて、お湯を注いで飲みます」

 プーアール茶は脂肪の吸収を抑えて体外に排出する効果がある。杜仲は体内の老廃物の排泄(はいせつ)を促進し、ハスの葉はむくみ解消、金蓮花は脂肪分解効果に優れている。

「お茶を飲んでダイエットを意識し、甘いものを一口減らすなど、日常生活で無意識に痩せるための工夫ができるようになると思います」(劉さん)

 新しい年に、あなたはどれから試してみます?(ライター・羽根田真智)

AERA 2021年1月18日号より抜粋