新型コロナウイルス感染が急拡大するなか、はじめて実施される大学入学共通テストが今週末に迫る。大舞台を前に、不安を抱える受験生たちが不安を解消し、本番で十二分に実力を発揮するには、どうしたらよいか。現役で東大に合格し、クイズ王として大活躍する伊沢拓司さんが、エールを送る。

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――今年は、初の大学入学共通テストになりますね。

 初めての大学入学共通テストについては、誰もが経験したことがないことなので、ある程度、不安を感じるのは仕方ないですよね。この不安を無理に解消しようとして、時間を使いすぎないようにしてください。

 新しいテストであるというのは全員にとって平等です。また出題者側も「受験生はまだあまりわかっていないだろうな」と思って問題をつくっているので、そこまでクセのある問題は出ない可能性が高いというところに考えが及ぶと、少しは安心できると思います。学習指導要領自体は大きく変わっていないので、それに基づいて、ちょっと違う傾向のテストがつくられるということになるので、やはり「基礎に立ち返る」ということが、不安を解消してくれると思います。

――コロナ禍が重なったことについてはどうでしょうか?

 こればっかりは、全員に平等とはいえないですよね。日本全国ある程度、同じ状況にはあるけれど、やはり緊急事態宣言の対象地域などはその影響を受けるリスクが高い。自分自身がコロナに感染してしまう、周囲でクラスターが発生するということもあって、地域差や運の要素が大きいと言わざるを得ません。ただ、受験において地域差というのはもともとあるものだし、コロナに限らず「今年はインフルエンザの感染率が高いですね」という場合と構造は同じだと思います。規模が大きすぎて、影響が出ない部分にも出てきてしまっているというのがつらいところですが。

 そうした運の要素を薄めてくれるのが、努力だと思います。勉強量をこなせば点数は高めで安定してくるし、同じくらい運が悪かったとしても、努力していない時に比べたら高い点数が取れるでしょう。もちろん、病気で寝込んでしまったらそうも言えませんが。

 誰も経験したことがない状況で、不安を抱えることはしょうがない。努力できる環境かどうか、というのも人によって違うので、僕が言うほど簡単な話ではないかもしれません。 ただ、不安を感じる自分に対して落ち込んだり、無力感を感じて何もできなかったりするのはもったいないです。不安であっても、勉強を進めることはできますから。効率は落ちるかもしれませんが、やらないよりはましです 。

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吉田美穂
吉田美穂

NEXT入試直前に心臓が痛い!
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