内容はホラー要素もあるミステリーなのですが、だからといって現場の雰囲気まで引っ張られてしまうと、きっとメンタル的にも苦しくなる。みなさんがそこまで意識されていたのかはわからないのですが、カットがかかった後は、いい雰囲気だったのではないかな、と私は思っています。撮影の合間は、共演者の方々とは役について意見を交わすというよりも、世間話など、役以外のことを話していました。

 英莉可を演じるにあたり、あえて自分の役の部分しか台本を読まずに現場に臨んだ。

平手:自分が演じるシーンの流れは把握していますが、ほかの方の細かいせりふまで読まない方が、表情や演技が新鮮に映るのではないか、と思いました。

 英莉可は、孤独を抱えた女の子なので、初めの何日かは、「ほかの共演者の方と一緒になったとしても、あまり話さないで」と森ガキ監督に言われていたんです。

 ですが、数日経ってから「やっぱり話していいよ」と監督から言われ、共演者の方々とも言葉を交わすようになったんです。

 この映画の原作である、ヤマシタトモコさんの同名漫画にも心奪われた。映画だけでなく、漫画も多くの人に手に取ってもらいたい、と願う。

平手:作品を観た方が少しでも原作が気になったら、ぜひ原作を読んでみてほしい、という気持ちがあります。英莉可だけでなく、三角や冷川についても、私は原作を初めて読んだときに面白いと感じました。映画のなかの英莉可は原作とは少し違う部分もあるので、興味を持った方は、読んでみてくださるとうれしいなと思います。

 原作を知っている方も、知らない方も、この映画を観てどう感じてくださるのかは、すごく気になります。新しい作品に臨む時はいつも、ただ純粋に「この作品を届けたい」という気持ちから入っています。

「さんかく窓の外側は夜」は、映画出演2作目に当たる。映画を観るのも好きだという。

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