ファスティングは基本的に7日間。食事をとらず漢方茶や白湯など水分だけで過ごすのは3~5日目で、それ以外の日は久保田さんが調合した薬膳粥(がゆ)や和食中心の食事でプログラムを組む。薬膳粥の内容は、滋養強壮などにいい龍眼肉(りゅうがんにく)、山薬(さんやく)、大棗(たいそう)、枸杞子(くこし)、血糖値の急上昇を抑制する菊芋(きくいも)、余分な水分を取り、むくみを解消する昆布(こんぶ)などだ。ちなみに、龍眼肉はライチなどの仲間で、山薬はヤマイモ、大棗はナツメ。枸杞子はデザートのトッピングでよく見かけるゴジベリー(クコの実)。菊芋は「野菜」として売られている。昆布は、「ダシを取る昆布」と同じものだ。

「お粥に使うお米も、粳米(こうべい)という生薬(漢方薬における最小単位の薬剤)の一種。身近な食材には、生薬として使われているものがたくさんあります」(同)

 空腹時には、大棗、枸杞子、海松子(かいしょうし=松の実)、麻子仁(ましにん=麻の実)などを混ぜたものを。合間に飲む漢方茶も、血流改善や排尿促進などを目的に生薬を配合した薬膳茶だ。この漢方ファスティングを3回行った結果、女性は体重を妊娠前の標準体重まで戻した。「体の中の『流れ』が整っていくのが分かるような感覚があり、心地よかった」と女性は話す。今は漢方薬を飲みながら体重と体調を維持している。(ライター・羽根田真智)

AERA 2021年1月18日号より抜粋