新宿で3年近くホームレスをしている男性(57)が取材に応じた。

 6年ほど前に体を壊し、勤めていた会社を退職。治療費で貯金を使い果たし、ホームレスになった。以来、日雇いの仕事で細々と現金を得ていたが、コロナ禍で日雇いの仕事も減り、収入はほぼなくなった。今日は体がだるくて、医療相談を受けると言う。

「何とか生きられるだけの仕事をしてきたけど、コロナですべてが変わった。もう、生きているのもつらい」

 コロナによって、多くの人がこれまでの日常を奪われた。感染拡大は収まる兆しが見えない中、さらなる生活困窮者の増加が懸念される。

 同アクションの支援団体の一つ「つくろい東京ファンド」代表理事の稲葉剛さん(51)は、行政の貧困対策強化を訴える。

相談窓口には、若年層や女性の相談も目立った(撮影:野村昌二)
相談窓口には、若年層や女性の相談も目立った(撮影:野村昌二)

「生活保護の利用には、まだまだ心理的ハードルが高く誤解も多い。生活保護は誰でも利用できる制度ということを、国はもっと広報してほしい。雇用の回復が見えない中、住宅支援も重要だ」

 年越し大人食堂は、1月3日も同教会で開催(12~18時)される。他にも、年始に行っている各地の民間団体の支援情報や一部自治体の臨時窓口情報が、厚労省のホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_15468.html)に掲載されている。

(文/野村昌二)

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野村昌二

野村昌二

ニュース週刊誌『AERA』記者。格差、貧困、マイノリティの問題を中心に、ときどきサブカルなども書いています。著書に『ぼくたちクルド人』。大切にしたのは、人が幸せに生きる権利。

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