「半農半X」が日本の農業強化の“切り札”に コロナ下の地方志向も追い風 (1/5) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

AERA dot.

「半農半X」が日本の農業強化の“切り札”に コロナ下の地方志向も追い風

澤田晃宏AERA#働き方
自ら収穫した酒米で造った日本酒を持つ沼田さん。酒造会社の社長や杜氏からも頼りにされ、酒蔵にとっても欠かせない存在になっている(撮影/澤田晃宏)

自ら収穫した酒米で造った日本酒を持つ沼田さん。酒造会社の社長や杜氏からも頼りにされ、酒蔵にとっても欠かせない存在になっている(撮影/澤田晃宏)

コロナの影響で、みかん農家の宿「あおとくる」は現在、自粛休業中。宿泊客には、自身の畑でとれた野菜など、地域の食材を使った料理をふるまう(撮影/澤田晃宏)

コロナの影響で、みかん農家の宿「あおとくる」は現在、自粛休業中。宿泊客には、自身の畑でとれた野菜など、地域の食材を使った料理をふるまう(撮影/澤田晃宏)

石川さん夫婦。にわとりも飼育し、自給自足に近い生活を送っている。月に1回程度は、車で30分程度の徳島市中心部まで行き、外食やショッピングを楽しむ(撮影/澤田晃宏)

石川さん夫婦。にわとりも飼育し、自給自足に近い生活を送っている。月に1回程度は、車で30分程度の徳島市中心部まで行き、外食やショッピングを楽しむ(撮影/澤田晃宏)

 高齢化で細る農業の生産現場を強化しようと、政府が政策を転換した。新たな担い手に、別の仕事を持ちつつ農業もやる若い世代を期待する。コロナ下の地方志向も追い風になっている。AERA 2020年12月28日-2021年1月4日合併号の記事を紹介する。

【石川さん夫妻が経営する みかん農家の宿「あおとくる」の写真はこちら】

*  *  *
 島根県西部の中山間地域に位置する人口約1万人の邑南(おおなん)町。面積は約420平方キロメートルと県内で最も広く、86%を山林が占める。そんな自然豊かな村でとれた酒米と天然の湧き水で醸造した地酒を造る池月酒造(邑南町阿須那)で、2013年から沼田高志さん(31)は働いている。

 ただ、酒蔵で働くのは毎年11月頃から3月まで。その他の期間は、農家として働く。昨年は売り上げから経費を差し引いた農業所得が約230万円、酒蔵で蔵人(酒造りに携わる職人)として働く収入が約120万円あった。

 沼田さんは兵庫県出身。農家になりたいと、支援制度の整った島根県に移住したIターン者だ。今では邑南町で知り合った妻との間に子どもを授かり、農業の規模を拡大しながら、邑南町で自立就農する予定と話す。

「冬場は雪が多く、露地野菜の栽培は困難です。逆に冬場に繁忙期を迎える酒蔵で働くことで、安定した収入を確保することができ、家庭を支えるだけの収入を得ることができます」

■専業重視の農政を転換 多様な人材農業に呼び込む

 今、農業は大きな転換期を迎えようとしている。政府は3月、農政の中長期ビジョン「食料・農業・農村基本計画」を閣議決定し、30年までに食料自給率をカロリーベースで37%(18年)から45%に、生産額ベースで66%(18年)から75%に高め、農林水産物・食品の輸出額を5兆円まで伸ばすなどの数値目標を掲げた。

 ただ、生産現場の状況は脆弱極まりない。農林水産省の「農林業センサス」(20年)によれば、主な仕事が農業である農業従事者は5年間で約40万人減少し、約7割が65歳以上。耕作放棄地は滋賀県の面積とほぼ同じ約40万ヘクタールに拡大するなど、農業者の減少と高齢化に歯止めがかからない。


トップにもどる AERA記事一覧

続きを読む

おすすめの記事おすすめの記事
関連記事関連記事

あわせて読みたい あわせて読みたい