勇ましいリーダーの顔から、無邪気な笑顔まで、Wakuさんにとって、いろんな顔を持つイメージがあるミッキー。ネオン管を連続的に使う、日本の古き良きネオン看板の手法で、ミッキーの三つ丸を描いた。

「自分のなかのミッキーは、一つの枠に収まりきらないもの。作品も抽象的なものになりました。完成したときですか? 脳汁が出ましたね(笑)。見る人も自由に見て、感じてほしい」

 脳汁が出る……昭和で言うところの、「シビれる」が近そうだ。
 
■マニア垂涎の限定品

 このほか、変わりゆくミッキーの姿を描いたペインターの添田奈那さん、「ミッキーマウスは子どものころからアイドルだった」というコラージュアーティストの河村康輔さん、「漢字としてとらえ、書道化したミッキーマウス」の作品を紹介している書道家 万美さん、キャラクター禁止の家庭で育った反動で「自分だけの特別なミッキーを描いた」というイラストレーターの大島智子さんの5人。

 ほかにニューヨーク展に出品された、キース・ヘリングなど現代アーティストの作品も来日し、みんなの心のなかにあるさまざまなミッキーマウスが展覧会場を埋め尽くしている。

 会場内の「ミッキーマウス展公式ショップ」も、この展覧会の目玉の一つ。キャラクター界のレジェンドらしく、文房具やバッグ、ファッションアイテムなど400点以上をそろえ、うち約半数にあたる200点は、本展でしか手に入らないマニア垂涎(すいぜん)の限定品となっている。

 このほか、会場のある六本木ヒルズ内の14ショップが参加して、さまざまな年代のミッキーをデザインした限定グッズなどを販売。例えば「ユナイテッドアローズ六本木」では、ディズニーアニメの一シーンを切り取ったデザインのメンズ、レディース、キッズのTシャツやスウェットを販売するなど、年末の六本木ヒルズはミッキーの「三つ丸」であふれている。

 あまりに大物すぎて忘れがちだが、誰でも心のなかに、ミッキーとの思い出を持っているはず。そんな心の奥底にある温かい思い出に、会いに行こう。(ライター・福光恵)

AERA 2020年12月28日-2021年1月4日合併号