92年前、映画「蒸気船ウィリー」でポップスターが誕生 (c)Disney
92年前、映画「蒸気船ウィリー」でポップスターが誕生 (c)Disney

 スクリーンデビュー90周年記念に、ニューヨークで「MICKEY:THE TRUE ORIGINAL」が開かれた。日本では芸術家5人が「これからの」ミッキーを創造した。AERA 2020年12月28日-2021年1月4日合併号に掲載された記事を紹介する。

【写真特集】ミッキーマウス展の作品の一部はこちら

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 キャラクター界の超ビッグネーム。いや、もはやキャラクターであることすら、忘れている人もいるかもしれない。何って、ディズニーが生んだキャラクター、ミッキーマウスだ。

「キャラクターとしての認知度では、間違いなく世界一でしょう。ありきたりな言葉ですが、まさにレジェンドですよね」

 そう話すのは、キャラクター評論家のろばと でにろうさんだ。15年前にあった「愛知万博」のモリゾー&キッコロに刺激され、評論家になったというベテランのキャラクター評論家は、ミッキーをこう語る。

「キャラクターの域を超えて、ディズニーランドという国に住む、伝説の“人”のような存在に。映画スターとして活躍し、ディズニーランドという居場所を作り、新しいファンを増やしていく。そんなキャラクターのブランド展開の草分けでもあり、キャラクター大国日本で活躍するさまざまなキャラクターすべての、ルーツ的存在と言ってもいいと思います」

■デビュー90周年記念

 そのミッキーマウスが、初めてスクリーンデビューし、世紀のポップスターの道を歩み始めたのは、1928年のこと。デビュー作は「蒸気船ウィリー」というモノクロのアニメ映画。ちなみにこの映画が公開されたのは11月18日。この日はミッキーの誕生日となっている。

 そんなスクリーンデビュー90周年を記念して、2018~19年にニューヨークで開かれたのが、展覧会「MICKEY:THE TRUE ORIGINAL」だった。デビュー作「蒸気船ウィリー」の追体験展示や、20人以上の現代アーティストがミッキーをモチーフに制作したインスタレーションなどが紹介され、人気を呼んだ。

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