写真:小島弘章さん提供
写真:小島弘章さん提供

 片付けは取り出しやすく、しまいやすい仕組みも大事だ。それができてしまえば、「出したら戻す」が当たり前になり、簡単にきれいをキープできる。AERA 2020年12月28日-2021年1月4日合併号は、「片付け」を特集。

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 間隔を保ち、取り出しやすい状態で美しく並んでいる食器たち。整然とした「断捨離」の提唱者、やましたひでこさんの自宅のなかでも、食器棚はとくに自慢の場所だという。

「そんなに高いものではありませんが、こうしてきれいに並べるとずいぶん立派なものに見えますよね」(やましたさん)

 理想とするのは、いつでも使えるようにものが“楽屋”でスタンバイしている状態。そのためには、取り出してから使うまでの手間を少なくする仕組みづくりも大切だ。さらに、一度決めたらずっと同じ場所に置くのではなく、適度に見直す必要もある。

 その代表例がマスク。かつてはリビングの薬箱の横に置いている人が多かったが、今や外出時の必須アイテムになった。家を出るときにマスクをしていないことに気づき、靴を脱いで取りに戻り……は誰しも経験があるだろう。当面の間、マスクは玄関やその近くに置いたほうが理にかなっている。

 また、「家族が使ったものを元に戻さない」と嘆く人は多いが、その理由がものの取り出しにくさ、おさめづらさにある場合も少なくない。

 たとえば教科書を入れたランドセルの重さは7キロくらいあるため、壁にかけたり、上のほうにある引き出しやカラーボックスにおさめたりするのは、子どもにとって重労働。面倒になって元に戻さなくなってしまう。そこで、「収納王子コジマジック」としても活躍する一般社団法人日本収納検定協会代表理事の小島弘章さんの家では床のすぐ近くにスライド式の棚を作り、子どもがそこにランドセルを置けばいいようにしたという。

 同じ発想で、たとえば食器棚の一番下には「土鍋・とんすい・がら入れ・お玉立て」の一式が「なべせっと」としておさまっている。お手伝いしやすいから、「今日はお鍋だよ」と声をかければ、子どもたちも進んで準備を手伝ってくれる。

「子どもの場合、仕組みづくりをしたからといって、すぐにできるようにはならないし、個人差も大きい。うちの場合、娘は片付けを覚えるのも早かったですが、息子は発達障がいがあったため、本当に少しずつしか進んでいきませんでした。4歳までひと言も話さなかったんです。7歳になった今は、うるさいくらいに話せるようになりましたが(笑)。でも、片付けは一生付き合っていくもの。根気よく伝えることで、できるようになるときが必ず来ます」(小島さん)

(編集部・高橋有紀、小長光哲郎)

AERA 2020年12月28日-2021年1月4日合併号より抜粋

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小長光哲郎

小長光哲郎

ライター/AERA編集部 1966年、福岡県北九州市生まれ。月刊誌などの編集者を経て、2019年よりAERA編集部

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