とはいえ、何を減らすべきか、とりあえずの基準がほしい人もいるだろう。「収納王子コジマジック」としても活躍する一般社団法人日本収納検定協会代表理事の小島弘章さんは言う。

「『いる・いらない』という主観ではなく、『使っている/いない』という客観で判断し、使ってないものを処分してください。1年使っていないものは、2年目以降もほぼ使いません」

 最後に使ったのはいつなのか、思い出せないものは案外多い。判断に迷うものは日付と「ものの賞味期限」となる1年後の日付を書いて「保管箱」に入れておく。いつ使ったのか、何年使っていないのかが可視化されると判断がつくようになるという。

 アエラのアンケートでも、「捨てて後悔しているもの」を聞いてみたが「捨ててしまえば案外思い出せないものばかり」(39歳・女性会社員)という声も複数見られた。

 とはいえ、いざ「捨てる」となると罪悪感を覚える人は多い。

 東京都在住の女性(44)は昨年末、子どもと話し合って増えすぎたおもちゃを「処分する」と決めさせた。だが、やはり捨てるのはしのびないと子どもはふんぎりがつかない。そこで、寄付をすることに。

「娘は映画『トイ・ストーリー』が好きなので、『おもちゃもたくさん遊んでくれる子どものところに行きたいかもよ?』と話して聞かせました」

 しかし今度は「寄付先を選ぶ」「箱を用意する」「箱詰めをする」という作業の途中で、女性の方が挫折してしまったという。

「結局この1年手つかずのまま。狭い部屋の片隅に『要らないおもちゃ置き場』が新たにできたのみでした」

「捨てる」ことへの罪悪感から、寄付やリサイクル、売却などを考える人も多いが、それぞれに梱包や出品などの手間がかかる。リサイクルやリユースができるのは、ある意味上級者だ。

 子どもに「寄付する」と約束した以上なんとか実行したいところだが、これが自分のものだった場合、「あっさり捨てる」という選択肢もありだという。

「私自身は、まだものがきれいで貰い手があるうちに手放すようにしていますが、『いつか誰かに使ってもらおう』と思ったまま何年も経つことは少なくない。エコの時代に『捨てる』という決断は難しいかもしれませんが、10年保管してゴミとして捨てるより、今決断したほうが、その分のスペースや時間が有効活用できます」(やましたさん)

(編集部・高橋有紀、小長光哲郎)

AERA 2020年12月28日号-2021年1月4日合併号より抜粋

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小長光哲郎

小長光哲郎

ライター/AERA編集部 1966年、福岡県北九州市生まれ。月刊誌などの編集者を経て、2019年よりAERA編集部

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