■ダイヤモンドと北十字

 ただ星を見上げるのもいいが、観測したい目標を決めると楽しみはもっと広がる。これからの時期に都心でも楽しめる星空について天文学者の菊田智史さんに尋ねると、「ぜひ『冬のダイヤモンド』を探してほしい」と教えてくれた。

 冬のダイヤモンドは、冬空に輝く6個の星を結んだもので、青白く輝くシリウス(おおいぬ座)、白色のプロキオン(こいぬ座)、オレンジ色のポルックス(ふたご座)、黄色っぽいカペラ(ぎょしゃ座)、赤色のアルデバラン(おうし座)、青色のリゲル(オリオン座)からなる。6個すべてが明るい1等星なので、都心でも十分に見つけることができる。オリオン座の近くの明るい星を結んでいくと見つかりやすい。

 菊田さんのもう一つのオススメが「クリスマスの頃に西の空に現れる十字架」だ。日が暮れるのが早い冬の時期は、夜の早い時間帯に夏の星座も楽しめる。イエス・キリストの降誕を祝うクリスマスの夜、星が十字形にきれいに並んだ夏の星座、「はくちょう座」が日暮れからまもない時間帯、西の空に現れるのだ。

 十字の星座といえば「南十字星(みなみじゅうじ座)」が有名だが、国内では沖縄や小笠原などに行かなければ見えない。一方、「北十字」とも呼ばれるはくちょう座は1等星のデネブが目印になって、都心でも比較的簡単に見つけることができる。

 この冬は街を彩るイルミネーションだけでなく、夜空の星の輝きにも目を向けてはいかが。(編集部・深澤友紀)

AERA 2020年12月21日号より抜粋