■家計負担の割合が高い

 奨学金を受けていない層も楽とは言えない。大内教授は、数年前から奨学金返済の大きな負担が社会問題化し、「苦しくても親が貸与型奨学金を借りさせないケースが増えた」という。

「親からの経済的支援も受けられず、貸与型奨学金も利用できなければ、学生にとってはアルバイトが命綱です。それが第3波でさらに減少すれば、彼らはますます窮地に立たされます」

 根幹にあるのは、教育に対する公的支出がOECD(経済協力開発機構)の加盟国中最低で、高等教育の家計負担の割合が高いという日本の教育政策だ。

 学生団体「高等教育無償化プロジェクトFREE」は、4月、国の責任で授業料を一律半額免除するよう訴えた。そのメンバーで東京学芸大学4年の奥田木の実さんと同大大学院1年の佐藤雄哉さんは、こう訴える。

「私たちが実施しているアンケートに苦境を訴える学生の個別の声は届いています。でも、全体を知るには限界がある。国として学生の置かれた実態を調査し、必要かつ抜本的な救済策を講じてほしい。教育を受ける権利を保障してください」

(編集部・石臥薫子)

AERA 2020年12月14日号より抜粋