「そんなくだらないゲームやってないで、ドリルやりなさい!」「マンガなんか読まないでちゃんとした本を読みなさい!」

 といったように。これでは子どもは動かないし、興味を持ちません。

 もし、子どもを「依存型の熱中」から抜け出させ、「善きもの」を与えたいのなら、「快な善」に導くことがポイントになります。難しそうですが、いろいろなアプローチが考えられます。ゲームや動画にも「善」なものはたくさんあります。探究学舎では「快な善」を「探究」し続け、子どもが進んで楽しく学べるしくみをつくり続けています。

 では、よい熱中とは何でしょうか? それは「自発型の熱中」です。昆虫でも歴史でも工作でも何でもいい。内容だけでなく、子ども自身が興味を持って「とことん掘り下げたい」と思っているかどうかがカギになります。

 これは残念ながら、放っておいても自然に一つのことに熱中し始め、才能が開花することはまれです。周りの大人の何らかの働きかけが大事です。それこそ、「快の善」になるものをいろいろ考え、手を替え品を替え与え続けることです。親自身ががんばり続けなくても、得意な人を頼るのでも、クラブやスクールを見つけるのでもいい。

 さらにもう一つ。「自発型の熱中」が見つかってもずっと対象が変わらない子はごく少数です。多くの子どもは熱中することがコロコロ変わっていきますが、そこを問題視することはありません!

(取材・文=AERA with Kids編集部)

※「AERA with Kids冬号」では、「快な善」に注目した探究学舎流の学びのテーマ例や方法、具体例を詳しく紹介しています。

AERA with Kids (アエラ ウィズ キッズ) 2020年 冬号 [雑誌]

高濱正伸,宝槻泰伸,安浪京子

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AERA編集部
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