――守りでは一塁、二塁、三塁、センターの守備に入った。守備機会はなかったが、シートノックやボール回しでは軽快なグラブ捌きと正確な送球を見せた。

森本:肩や守備は現役時代と同じくらいに仕上げてくるだろうとなんとなく思っていたし、それほど心配していませんでした。今回は実際の打球を捌く場面はなかったけれど、見てみたかったですね。新庄さんの一番の魅力は外野守備です。現役時代の守備は本当に強烈でした。センターの守備、見てみたかったなぁ。

――プレー以外でも、若手選手に守備の際のステップを指導したり、守備交代の際に投手に声をかけたりとのびのびとプレーしている様子が随所に見て取れた。

森本:新庄さんがユニフォームを着て楽しそうに野球をやっているところを見ると、「あぁなんか新庄さんらしいな」って、こっちが笑顔になりますよね。新庄さんは常々「野球は楽しむもの」と言っていました。プロの選手のなかには、野球は仕事だから楽しめないって人がたくさんいます。結果を残せなければクビになってしまうし。野球を楽しむこと自体が難しいんです。

 小学生のころ、日曜日になったら野球ができるとワクワクしていたあの感じを、プロになっても持っている。そこに新庄さんの強さが凝縮されています。楽しめるということは、練習のように体を動かせるということでもある。実は、楽しむことはプロ野球選手が乗り越えなければいけない究極の壁だと僕は思っています。

 昨日のトライアウトでも、現役時代と同じように楽しそうにプレーしていたのが印象的でした。

――トライアウトを受けて、ファンの期待は高まっている。果たして、プロ野球復帰の可能性はあるのか。

森本:戦力として十分やれると思う。現役選手も、キャンプから紅白戦、オープン戦と実戦を重ねる中で調整して、シーズンが開幕してもなお微調整を繰り返し、自分のキレを出していきます。新庄さんがその環境にいたらどうなるんだろうとものすごく楽しみです。見てみたいですね。

 なんとなく、このチームが手を挙げるんじゃないかと思っている球団がひとつあります。何か情報をつかんでいるわけではなく、半ば希望的観測ですが。ちなみに、古巣の日本ハムではありません。

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「また野球に向き合ったことに意味がある」