AERA 2020年11月30日号より(撮影/篠塚ようこ)
AERA 2020年11月30日号より(撮影/篠塚ようこ)
AERA 2020年11月30日号より(撮影/篠塚ようこ)
AERA 2020年11月30日号より(撮影/篠塚ようこ)
AERA 2020年11月30日号より(撮影/篠塚ようこ)
AERA 2020年11月30日号より(撮影/篠塚ようこ)
AERA 2020年11月30日号より(撮影/篠塚ようこ)
AERA 2020年11月30日号より(撮影/篠塚ようこ)

 ヴィーガンは食だけでなくファッション分野でも浸透してきている。生態系や環境を犠牲にして消費を続けていいのか。若者たちを中心に、そんな新しい価値観が生まれている。AERA2020年11月30日号の記事を紹介する。

【写真】LOVST-TOKYO代表の唐沢海斗さん(上)とアップルレザーのサンプルはこちら

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発色がきれいなパープルのバッグはステラ マッカートニー。羽織ったレザーのマウンテンパーカーは、マニッシュなスタイルが20代女性に人気の国内ブランドJEANASIS(ジーナシス)のものだ。

 アレルギーをきっかけに7歳のときからヴィーガン生活を続けている吉川夕葉さん(24)。彼女が身につけているレザー製品、どちらも動物の皮革を使ったものではない。いわゆるヴィーガンレザーと言われるものだ。

 人工皮革や合成皮革、さらにパイナップルの葉の繊維を使ってレザーの質感に似せた新素材など、非動物性レザーは総称してヴィーガンレザーと呼ばれる。

 食の面で広まった「ヴィーガン」は、ファッションやコスメにも取り入れられ、「ヴィーガンファッション」や「エシカルファッション」(エシカルは「倫理的な」の意)の言葉とともに浸透し始めている。

 ヴィーガンは、肉、魚、乳製品、卵など動物由来の食品を食べない人を指す「完全菜食主義者」のことだが、もともとヴィーガニズムとは「人間が動物を搾取することなく生きるべき」という主義を意味する。食べ物だろうと衣服だろうと同じことなのだ。

■一流ブランドが脱毛皮

 吉川さんはスキンケアやコスメも極力、動物由来原料を使わないものを選んでいる。

「原料とかは見てもわからないこともあるし、全部完璧にできるわけじゃない。でも選択肢があったらなるべく応援の意味も込めてヴィーガンのものを選びたいんです」(吉川さん)

 業界の動向に詳しいファッションビジネスジャーナリストの松下久美さんは、ヴィーガンファッションの潮流について、2017年のグッチのファーフリー宣言が象徴的な出来事だったと振り返る。ファーフリーは「脱毛皮」、つまり製品への毛皮の使用を廃止すると世界に向けて発信したのだ。前年の16年にはアルマーニが、18年にはバーバリーやシャネルなど一流ブランドが続々と脱毛皮に動いた。

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