授業の最後に平城教諭が「コンピューター技術を使って、みんなが将来いろいろなことを解決してくれることを期待しています」と、締めくくった。

 同クラスの加地賢悟(かち けんご)さんは「外国と通じたことが、すごいと思った。日本国内でも農家の人が人手不足で困っている。プログラミングで、そういう人の役に立ちたい」と言う。北川芽依(きたがわ めい)さんは「思い通り動かないときがあったけど、いろいろ試して動いたときには達成感を得た」。猪狩隆(いがり たかし)さんは「将来は宇宙飛行士になりたい。ロケットを作ってプログラミングしてみたい」と話す。

■「はやぶさ2」の体験

 相模原市では、2017年度から全国に先駆け、全市立小学校でプログラミング教育を導入した。教育委員会教育局学校教育部指導主事・渡邊茂一さんは、今回の授業の狙いについて次のように語る。

「5年生はプログラミング経験を積んでおり、次の段階にチャレンジしようと考えた。相模原市には宇宙航空研究開発機構(JAXA<ジャクサ>)の研究施設がある。『はやぶさ2』のように、遠隔操作でコンピューターを動かす体験を、子どもたちにもさせたかった」

 文部科学省は新指導要領で、20年度から小学校のプログラミング教育を必修とした。ただし科目として独立させるのではなく、従来の教科のなかで活用することを推奨している。

 21年度は中学校でも必修となる。これまでも技術・家庭科で実施していたが、より深く学ぶことになる。高校では先述したとおり22年度から必修科目として「情報I」が設置される。

 子どもの創造や表現活動を支援するNPO法人「CANVAS」、「デジタルえほん」などの代表を兼任する石戸奈々子さんは、子どもたちがプログラミングに取り組むなかで、友だちと協力し創造する力、試行錯誤しながら主体的に学ぼうとする力が育まれていくという。今回の必修化について、次のように話す。

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