■ヒット報道のたび高騰

 これほどの大ヒットを株式市場も見逃さない。例えばゲームセンター向け景品などを販売するエスケイジャパンは、鬼滅の大ヒットが報じられるたびに株価が急騰するなど格好の投資対象となった。

「兜町の銘柄博士」の異名を取る証券ジャパン投資情報部部長の大谷正之氏は鬼滅銘柄について、「クリスマス商戦が一つのヤマ。今後の注目はバンダイナムコホールディングスです」と話す。10月末に発売した玩具「DX日輪刀」のほか、12月には「全集中 札取りカードゲーム」なども新規投入し、売り上げアップが期待できるという。

 大谷氏は「鬼滅関連銘柄の問い合わせが増えてきたのは今春からですが、昨年暮れのNHK紅白歌合戦でLiSAがテレビアニメのオープニングテーマ『紅蓮華(ぐれんげ)』を歌ったあたりですでに鬼滅ブームでした」と振り返る。

「感性の鋭い若い女性たちの間で何が受けているかを観察すると、ブームを先取りして投資に生かせます」

 前出の宅森氏は単行本の発売を待たず週刊少年ジャンプで鬼滅を読破したという。

「映画化された無限列車編はまだまだ原作の途中段階。続編が出る可能性は高いでしょう。それにテレビ版の第2弾もファンが待ち望んでいるはずです。あと1年や2年、あるいはそれ以上『鬼滅人気』が続くのではないでしょうか」

(ジャーナリスト・大場宏明)

AERA 2020年11月30日号