ほぼ同じ時期の19年秋、ケニアやソマリアなどのアフリカ東部では、による深刻な農業被害が目立つようになった。被害はアラビア半島やイラン、パキスタンにも広がり、20年9月末になっても収束していない。乾燥した地域にすむサバクトビバッタは、生息地域に雨が降り、エサとなる草が生い茂ることで大発生する。世界気象機関(WMO)は、19年10月以降にアフリカ東部に降った大雨が、サバクトビバッタ大発生の一因になったと分析している。

 日本では19年12月~20年2月、観測史上、最も暖かい冬となった。

 これら三つの異常気象は、それぞれ遠く離れているが、インド洋ダイポールモード現象という海水温の異常現象の影響を受けていると考えられている。17、18、19年と3年連続で正のインド洋ダイポールモード現象が発生。特に19年は通常より強力で、長く続いた。その結果、オーストラリアには乾燥と高温、アフリカ東部には大雨、日本には暖冬をもたらしたと考えられている。

 さらに20年8月ごろからは太平洋でラニーニャ現象が発生。これは秋から冬にかけてアメリカ西部に乾燥をもたらし、森林火災のリスクをより高めるのではないかと心配されている。

■地球温暖化が異常気象に拍車をかける

 世界各地で頻発する異常気象には、インド洋ダイポールモード現象や、太平洋のラニーニャ現象、エルニーニョ現象が関わっていることが、近年の研究で明らかになってきている。これらの現象の発生頻度を高めたり、より激しいものにしたりしているのが地球温暖化だと、多くの気象学者が考えている。日本も毎年のように大雨や台風による災害が起きている。これからも異常気象や地球温暖化のニュースに注目し続けよう。

【地球温暖化が原因で起きている現象】

●アメリカで森林火災 2020年8月~継続中
西海岸・カリフォルニア州のサンフランシスコ市から見た森林火災。煙が市内に流れ込んで空がオレンジ色に染まった。異常な高温と乾燥で、森林火災が発生しやすくなっていた

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