寒ブリ
寒ブリ
極み熟成真鯛
極み熟成真鯛
極み熟成まぐろ
極み熟成まぐろ

 秋が深まって、空を見ると北方から越冬にやってくる渡り鳥の群れが見られる季節になりましたね。あの小さな体で数千キロもの距離を飛んでくるなんて、すごい体力やなぁといつも感心して見ています。

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 ちなみに皆さんご存じと思いますが、海の中にも回遊魚と呼ばれる、数千キロを移動する魚たちがいます。代表的なものは、マグロやカツオ、サンマ、ブリなどでしょうか。

 彼らが回遊するのは主に、餌を求めての索餌(さくじ)回遊と、快適な水温を求めての適温回遊の二つであると言われています。日本では昔から、それらの魚の回遊の周期に合わせて漁をしてきました。

 秋には、サンマの群れがオホーツク海方面から南下してくるのに合わせて、北海道から三陸沖へと順にサンマ漁が解禁されていきます。逆に、大間のマグロに代表される本マグロは、はるか南方からエサを追いながら北上し、12月ごろには津軽海峡に入ってきます。

 この時期のこの海域は水温がとても低く、またエサも豊富なため、たっぷりと脂が乗っていて人気なんです。

 またカツオについては、春ごろに南から黒潮に乗って北上し、秋になると逆に南下していきます。4月から5月ごろの北上していくものを初ガツオ、9月から10月ごろに南下していくものを戻りガツオとよんで、昔からそれぞれの旬の味を楽しんでいますよね。

 ちなみに、カツオの寿命は10年程度と言われていますが、日本近海を北上してくるのは、1歳から2歳の若い魚だけで、3歳を超えると北上せず、赤道の近くを東西に移動しながらエサを食べていると言われています。北上は、立派な大人のカツオになるための儀式的なものなんでしょうか。

 またブリも回遊魚ですが、マグロやカツオほどの長距離の回遊はせず、主に日本近海で北上と南下を繰り返しているんです。

 春から夏にかけては、太平洋沿岸や日本海を北上し、北海道近海のエサが豊富な海域でたっぷりとエサを食べて脂を蓄え、11月下旬から12月ごろにかけて、また日本海や太平洋側を南下します。この脂をたっぷり蓄えたブリが寒ブリと呼ばれ、これから旬を迎えます。

 ブリの代表的な料理にブリ大根がありますよね。ブリや大根に出汁がよく“しゅんで”、筆者も大好きな魚料理のひとつです。

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岡本浩之

岡本浩之

おかもと・ひろゆき/1962年岡山県倉敷市生まれ。大阪大学文学部卒業後、電機メーカー、食品メーカーの広報部長などを経て、2018年12月から「くら寿司株式会社」広報担当、2021年1月から取締役 広報宣伝IR本部 本部長。

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マダイやマグロで作ったらどうなる?