菅原さんはこう分析する。

「夕方に睡眠という体温を下げる行動をやめたことで、深部体温が上昇し、その反動で就寝時にしっかり下がるようになり、睡眠の質が改善したのでしょう。夕方は居眠りしない、横にならない。座るより立っているほうがいいし、運動すればさらに効果的です」

 階段の上り下り、ジムに行くなど、運動の種類や強度はバラバラでもいいが、その頻度は重要だと菅原さんは言う。

「生体リズムは多いほうに同調します。1週間ならそのうち4日、毎日やらなくても大丈夫です」

 どうしても時間が取れないという人は、デスクワーク中の姿勢を正すだけでも効果があるという。正しい姿勢を維持するためには筋肉を使うからだ。菅原さんに、正しい姿勢の作り方を教えてもらった。

 ただし、激しい運動をするならこの時間帯まで。このあとの時間に体温が上昇しすぎると、今度は就寝までに体温が下がらなくなる。もちろん、軽いウォーキングやストレッチなどはいつ行っても大丈夫だ。

■就寝1~2時間前/入浴後の放熱がカギ

 夕方に運動をしそこねた人も、もう一度体温を上げるチャンスがある。入浴だ。

「運動は筋肉を動かすことで自ら熱を作り出して体温を上げますが、入浴は外部から熱をもらって体温を上げる。自分で熱を生み出せる体を作るのがベストではありますが、入浴の効果は大きい。体温を上げて就寝前の放熱に導くためには、いくつかのポイントがあります」(菅原さん)

 まず、湯船につかること。帰宅が遅くなるとシャワーだけで済ませたくなるかもしれないが、シャワーには深部体温を上昇させる効果はない。疲れているからすぐに寝たい、というときでも、湯船につかって一度体温を上げたほうが、深い睡眠が得られ、結果的に疲れが取れるという。

 二つ目は、風呂を出てからすぐに布団に入らないこと。入浴後、少なくとも30分ほど時間を空けて、放熱してから布団に入ったほうが寝つきがよくなるという。

 三つ目はお湯の温度だ。基本的にはぬるめのお湯のほうがいい。どうしても熱い風呂に入りたいという人は、放熱の時間を長めにとる必要がある。入浴後から就寝まで、2~3時間あけたほうがいいと菅原さんは言う。

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