かたや、共和党支持の友人の意見は次のようなものでした。彼女は前回はヒラリーに投票しましたが、今回はトランプ支持に転向。7歳と5歳の子どもがいます。

「トランプは今でも嫌いだけど、コロナ対策を見て意見が変わったの。パンデミックの最中、リベラル派はすました顔で『親はリモートワーク、子どもはバーチャル授業で乗り切ろう』って言ってたけれど、うちみたいにパソコンが1台しかない庶民の家ではほぼ不可能。子どもの発達にとっても対面授業のほうがいいに決まってる。そうやって子育て世代が苦戦している間、ビジネスは再開し、BLMのデモで大人数が集まった。でもメディアをはじめ誰も『自宅待機』と言わない──矛盾していると思ったの。一方トランプは、当初からビジネスも学校も同じように開けと主張していたし、1人1000ドルの給付金もすぐに支給されたし。一貫性があるし、庶民の実情をより知っているのは彼の方だと思ったの。コロナで世間の支持率は下がっていたけれど、未曽有の事態が起きた際に現政権の支持率が下がるのは過去にもよくあることでしょう」

 ほかにも親ならではの意見として、民主党支持者からは「子どもがこれから暮らす地球のことを考えると、パリ協定復帰など環境対策に力を入れるバイデン一択」「バイデン支持というより、これ以上子どもにトランプの醜悪さを見せたくない。トランプがいなくなれば子育てはもっと平和で楽しくなる」、共和党支持者からは「トランプが進めた減税などの経済対策で、子育て家庭としての暮らしが楽になった」「トランプ支持というより、民主党が推し進める移民受け入れなどはいずれアメリカという国を滅ぼすだろうから、そんな未来を子どもに与えたくない」といった声がありました。

 アメリカ人が普段からこのように政治談議をしているかというと、答えはイエスでありノーでもあります。お互いの支持政党がわかっている場合は安心して話を進め、わからない場合、あるいは支持政党が違っている場合は極力政治の話には触れないように努めます。

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