遊泳魚に対して、底生魚は泳ぎがあまり上手くありません。代表的な底生魚といえる、カレイの遊泳速度は、時速1キロ程度とマンボウの半分以下です。

 でもそれ以上に泳ぎが苦手な魚もいます。それは、カエルアンコウ。聞き慣れない名前ですが、ダイビングをされる方には結構有名な魚のようです。

 彼らは泳ぐのではなく、その発達した胸ビレと腹ビレを使って、海底を歩いています。その歩く姿がかわいいとダイバーには人気なんです。

 そんな彼らも肉食なので、他の魚を捕らえて食べなければなりません。泳げないのにどうやって他の魚を捕まえられるのか心配になりますが、心配ご無用。

 彼らはアンコウの特徴である、頭の上の擬似餌(エスカ)で他の魚をおびき寄せて、近づいてきた魚を周囲の水ごと、超高速で飲み込んでしまうんです。その速さは0.01秒以下とか。

 また、カエルアンコウは身の危険を感じると、胸ビレの下から水をジェット機のように噴射して、驚くほどのスピードで逃亡することができるんです。見かけによらず凄い技をもっていますよね。

 今回は、魚なのに泳ぎが苦手という、意外性について書いてみましたが、見た目はあまりおいしそうではないのに、食べてみると実はおいしいという魚もたくさんいます。例えば、シイラなどもそうだと思います。

 皆さんもお寿司を食べる際に、スマホを片手に「この魚はどんな魚なのかな?」と調べながら食べてみると、また違ったお寿司の楽しみ方を発見できるかもしれませんよ。

○岡本浩之(おかもと・ひろゆき)
1962年岡山県倉敷市生まれ。大阪大学文学部卒業後、電機メーカー、食品メーカーの広報部長などを経て、2018年12月から「くら寿司株式会社」広報担当、2019年11月から、執行役員 広報宣伝IR本部 本部長

AERAオンライン限定記事

著者プロフィールを見る
岡本浩之

岡本浩之

おかもと・ひろゆき/1962年岡山県倉敷市生まれ。大阪大学文学部卒業後、電機メーカー、食品メーカーの広報部長などを経て、2018年12月から「くら寿司株式会社」広報担当、2021年1月から取締役 広報宣伝IR本部 本部長。

岡本浩之の記事一覧はこちら