先日のドラフトで、巨人は育成も含めて19人の選手を指名した。一方で、現有戦力の14選手に戦力外通告を下した。大量に選手を獲得し、めどが立たなければ早めにリリースする。1シーズンごとに“血の入れ替え”を行うことで、若手の選手をふるいにかけていく編成方針は今後、球界全体で加速していくのではないだろうか。

 若手が躍動するシーズンとなった背景には、コロナの影響もある。試合数が激減し、過密日程になったことで、ベテランのコンディションに配慮しながら、元気でフレッシュな若手にチャンスを与える流れも生まれた。

 一方で、開幕から横浜DeNAの守護神、山崎康晃や中日の岡田俊哉、ヤクルトの石山泰稚ら、クローザーの不調が相次いだ。いつ開幕するか分からない自粛期間を経て、急ピッチで開幕に合わせた調整の難しさは、とりわけいつ出番がおとずれるかわからない中継ぎ、抑え投手にこそあったのかもしれない。

■台頭待たれる「あの人」

 高卒3年目の村上は、同級生の清宮、安田尚憲(千葉ロッテ)というU‐18日本代表の主力を担った同じ左の大砲に先んじて定位置を確保し、昨年、新人王を獲得した。三振が多く、粗は目立つものの、岡本と共にこれからの日本の主軸を担う存在となった。そして安田も今季、レギュラーに。打率が2割台前半で、打順は4番から7番、そして9番と下がってきたが、今季の苦悩は必ず糧となるはずだ。

 通常のシーズンに戻るであろう来季、いよいよブレークが待望されるのは高校時代に111本のアーチをかけた清宮だ。村上、安田ら同級生の台頭によって、闘志だけでなく、尻にも火が付いている頃だろう。(ノンフィクションライター・柳川悠二)

AERA 2020年11月16日号