「オンライン英会話はマンツーマンで受講生の弱点補強をする指導なのに対し、オンライン留学は現地の授業をオンラインで再現し、世界各国から集まる生徒たちとグループワークをするのが特徴です」(横山さん)

 10月中旬、冒頭のように、記者も実際にオンライン留学を体験取材してみた。世界8カ国で展開するイギリスの語学学校ECの授業では、オンライン会議システムはマイクロソフトTeamsを使用。クリックすれば留学は始まる。

 取材したコース名は「8AM 中級2」。8AMはイギリス時間の朝8時を意味し、日本は夕方の4時だった。教師はマルタ共和国在住で、20年のキャリアを持つクリスさん。生徒は韓国、クウェート、サウジアラビアなど5カ国の女性たちだった。

■あっという間の90分

 授業は、事前に提示されていたテーマ「アクシデント(不慮の出来事)」についての生徒のトークから始まった。クリスさんが質問を次々繰り出し、少人数のため気の緩む間がない。記者も「あなたにはアクシデントでついた傷あとが何かありますか?」と不意に振られ、ドギマギした。

 授業では画面右側のチャット部分が黒板代わりになる。キーワードを打ち込みながら進むため、話のポイントはつかみやすい。続けて、クリスさんの子ども時代の話を聞き取ったり、文法問題を解いたり。授業は継ぎ目なく展開し、あっという間に90分が過ぎた。

 最後に宿題と、授業前後のグループワークの課題も提示された。グループワークは「英語を話す機会をより多く求めている生徒たちには好評だ」とクリスさんは言う。

 語学習得の面では、他国の人に交じって少人数で学べ、オンラインで目的は十分達成できるのではと感じた。普段出会うことのない国の人たちとグループワークできるのも魅力だ。

■中高生が高い関心

 主なオンライン留学についてまとめた。従来の現地留学と比べ、一番のメリットは費用面だ。渡航費や滞在費がかからず、受講料も割安。加えて日本で受講できる分、手軽になり、これまで留学を視野に入れなかった層にも可能性が広がった。前出の横山さんは言う。

「仕事を持つ社会人も可能になりました。夏休みのオンライン留学の申し込みで意外だったのは、最も多かったのは大学生ではなく中高生だったこと。小学生もいました。海外に行けなくても子どもに何かを得てほしいという思いが保護者に強く、自宅であれば安全で、受講の様子を見ることができるのもメリットだったようです」

(編集部・石田かおる)

AERA 2020年11月9日号より抜粋