ボトルのなかに二酸化炭素を入れて、中の空気を押し出す。泡を出して落ち着かせたサーバーから、蓋が閉まるギリギリのところまでビールをそそぐ。あとはギュッと蓋をして、To Go!

 これは、グラウラーにサーバーからビールを注ぐ方法。やってくれたのは、クラフトビール量り売り酒屋「リカーショップ ナイトオウル」(東京都渋谷区)のマネジャー・小菅一範さん(31)だ。

 店内でも販売しているグラウラーは、5千円ほどで買えるシンプルな水筒タイプから、炭酸の充填までできる3万円台のものまで各種。ナイトオウルではそのほかに瓶や缶につめてのテイクアウトも可能だが、今回はせっかくなので、水筒タイプのグラウラー(6050円)を購入し、750ミリリットルのクラフトビールのお持ち帰りをしてみた。

「持ち帰ったらグラウラーごと冷蔵庫に入れて落ち着かせて、早めにお飲みくださいね」

 小菅さんの教えにしたがって約6時間後、シュポッという音とともにグラウラーのスクリューキャップを開け、グラスに注いでみた。びっくりだ。泡も味わいも、お店で飲むものに近いクラフトビールが家の食卓に!

ではこのへんで、そもそもクラフトビールって何?を、ざっとおさらい。

「はっきりとした定義はありませんが、日本だけでも全国に500カ所近くあると言われるブルワリー(ビール醸造所)のうち、小規模な設備で味を確かめながら作られた、こだわりのビールを指すことが多いですね」

 そう教えてくれたのは、『エンジョイ!クラフトビール 人生最高の一杯を求めて』(スコット・マーフィーさんとの共著)の著書がある作家でイラストレーターの岩田リョウコさん。

 まずビールには大きく下面発酵酵母を低い温度で時間をかけて発酵させるラガーと、上面発酵酵母を高めの温度で発酵させて作るエールの2種類がある。そのうち日本人が「ビール」と呼んで飲んでいるもののほとんどは、ラガーのひとつである「ピルスナー」という種類。のどごしがよく、ゴクゴクと飲めてしまうのが特徴だ。さらに細かく分類すると、香りがよくフルーティーなもの、ワインのようにじっくり味わいたいものまで、100種類以上のビールがある。

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