VR会議システムでは参加者の目線やしぐさが、写真を元に作られたアバターに反映され、実際の会議のようにひそひそ話も可能。発言を自動で文字起こしする機能も組み込んだ(写真:NTTデータ提供)
VR会議システムでは参加者の目線やしぐさが、写真を元に作られたアバターに反映され、実際の会議のようにひそひそ話も可能。発言を自動で文字起こしする機能も組み込んだ(写真:NTTデータ提供)
NeWorkのワークスペース。大きな輪が会議室のようなイメージの「バブル」。バブルの外でも立ち話感覚で話しかけられる(写真:NTTコミュニケーションズ提供)
NeWorkのワークスペース。大きな輪が会議室のようなイメージの「バブル」。バブルの外でも立ち話感覚で話しかけられる(写真:NTTコミュニケーションズ提供)

 新型コロナ対策から普及したリモートワーク。メリットがある一方、コミュニケーション不足などの弊害も出ている。その解消のカギを握るのはITの力だ。AERA 2020年11月9日号で掲載された記事を紹介。

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 ITの力でリモートワークの弊害解消を目指す取り組みは、盛んになっている。

 NTTデータは、仮想の3D空間に自身を模したアバター(分身)を表示させるVR会議システムを開発した。

 参加者が使用するヘッドセットやコントローラーと仮想空間上のアバターが連動していて、目線や顔の向き、手の動きなどがリアルタイムでアバターにも反映される。コントローラーを使って移動もできる。周りを見回せばどこに誰がいるのかわかり、参加者それぞれが発言者に注目しているのか、スクリーンを見ているのかなどが現実世界と同様に把握できる。遠くにいる人の声は小さく、近くの人は大きく聞こえるため、すぐ隣にいる人とならひそひそ話も可能だという。

 開発を主導する山田達司さんは言う。

「『相手がそこにいる感覚』をリアルと同じように感じられます。平面に映像が並ぶビデオ会議では、対面と比べて細かいしぐさや表情、臨場感などが抜け落ちてしまう。それをカバーできればリモートワークはもっとよくなると考えて開発をスタートしました。発言を翻訳する機能もあり、リアルを超えた会議が可能です」

 基本機能の開発は終わっており、NTTデータのグループ会社を通じて製品化を急いでいるという。

■立ち話感覚で会話する

 VRほど大仰じゃなくても……という向きには、NTTコミュニケーションズの「NeWork」がオススメだ。

 画面上には自分を含めた職場のメンバーが丸いアイコンで表示され、話しかけたい人をクリックすれば音声やビデオで会話を始められる。それぞれのメンバーは、自分が話しかけられてもいい状態か、作業中なので話しかけてほしくないのかを設定できる。オフィスで立ち話をする感覚で交流できるのが売りだ。

 プロダクトマネージャーの大野智史さんは言う。

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川口穣

川口穣

ノンフィクションライター、AERA記者。著書『防災アプリ特務機関NERV 最強の災害情報インフラをつくったホワイトハッカーの10年』(平凡社)で第21回新潮ドキュメント賞候補。宮城県石巻市の災害公営住宅向け無料情報紙「石巻復興きずな新聞」副編集長も務める。

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渡辺豪

渡辺豪

ニュース週刊誌『AERA』記者。毎日新聞、沖縄タイムス記者を経てフリー。著書に『「アメとムチ」の構図~普天間移設の内幕~』(第14回平和・協同ジャーナリスト基金奨励賞)、『波よ鎮まれ~尖閣への視座~』(第13回石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞)など。毎日新聞で「沖縄論壇時評」を連載中(2017年~)。沖縄論考サイトOKIRON/オキロンのコア・エディター。沖縄以外のことも幅広く取材・執筆します。

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