さらに、橋本教授が注目するのは、国際政治学者の三浦瑠麗氏だ。橋本教授はこれまでの研究から、自民党は自己責任論を強く訴え、排外主義的な傾向を持ち合わせる「新自由主義右翼」と名付けた集団による強い支持を受けて、これまで選挙で勝ち続けたとみている。

 三浦氏は、2018年にフジテレビの番組に出演した際、「北朝鮮の潜伏工作員が国内にいる」という趣旨の発言をして問題視されたほか、著書では徴兵制の導入も主張。安倍晋三前首相に近い論客として知られ、今夏、アマゾンが有料サービス「プライムビデオ」のCMに三浦氏を起用すると、ネット上で批判を受けて「解約運動」も起きた。

「経済の専門家でもありませんから必然性は感じられません。差別・排外主義の象徴ととらえられることもあった人ですから、そういう意味ではコア支持層へのアピールだと感じられます」(橋本教授)

■大失業時代への対応

 非常勤国家公務員の内閣官房参与はどうか。内閣官房の内閣総務官室によると、報酬は1回の“仕事”につき2万6400円。前出の藤研究員が注視している人物は、高橋洋一氏だ。

「政府と日銀の財布を一体として考える『統合政府』論者で、政府は借金を心配せずにどんどんお金を使え、という方です。竹中氏やアトキンソン氏の路線とは違うタイプに感じます。今後の大失業時代は政府が中心になって雇用を生んでいくしかないので、高橋氏がどういう役割を果たすか注目しています」

 ただ、一方で立教大の平嶋特任教授はこう指摘している。

「研究者としての能力は高いですが、高橋氏は行動原理の基盤に(古巣の)財務省に対する反発があり、それがベースでの助言で政策がゆがむことが心配です。大きな影響力を行使するのであれば、助言内容は国民にオープンにするべきです」

※【菅首相、医療のブレーン不在と自白? 「コロナ対策は迷走の可能性大」と専門家】へ続く

(編集部・小田健司)

AERA 2020年11月9日号より抜粋