子どもが夢中になって何かに取り組む姿、普段はどんな気持ちで見守っていますか? 「その合間に家事を進めよう」「好きにさせておこう」など、忙しさにかまけてとかく放っておくことが多いのではないでしょうか。ときには「夕ご飯の時間なのにまだやってる」「もう寝る時間だよ!」など、生活時間との兼ね合いにため息が出ることも。しかしこの「夢中な時間」、実は子どもの個性や才能がたくさん詰まっているとか。『AERA with Kids秋号』(朝日新聞出版)では、子どもの没頭する姿を上手に観察し、個性や才能を引き出すコツについて、教育家の小川大介先生に取材しています。

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「子ども時代に、夢中になって遊んだ経験がたっぷりあること。それが賢い子を育てる最大条件です!」と、本誌でおなじみの小川大介先生は言い切ります。子どもは夢中で遊んでいるとき、知的好奇心のパワーも全開。「なんでだろう、知りたい!」「こうしたらどうかな、やってみよう!」と頭をフル回転させています。この体験こそ「集中力」を磨き、大人になってからの生きる力の源になるといいます。

 ただ、子どもの「熱中する様子」はそれこそ千差万別で、親は理解に苦しむことも。その結果「何時間、こんなコトばかりしているの!」「小学生なのに、まだこんなモノに没頭しているなんて!」と心配や疑問から「いいかげんにやめたら?」とイラ立つことも少なくないようです。

 でも、小川先生は「それでは子どもは伸びませんよ」とピシャリ。「親の望むモノや学力に結びつくコトに没頭してほしいといった下心があると、親は子どもの“素”の姿が見えにくくなります。子どもが“没頭している姿そのもの”をよく観察すれば、そこに見え隠れするすばらしい個性や才能を見つけられます。むしろそちらに意識を向けてほしい」と話します。

 子どもがどのように熱中していても、それが「意味のあること」と理解できれば、親も安心して子どもを見守ることができるでしょう。そして遊び終わったら「すごく楽しそうだったね」「一生懸命やってたね」など、子どもの気持ちに共感することで、子どもは満足して、自信も生まれるのです。

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船木麻里
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