――同作はプロデューサーに新井順子さん、監督に塚原あゆ子さんと制作陣に女性がそろったことも話題になった。

野木さん:男性の監督だと、桔梗さんと(桔梗の家にかくまわれている)ハムちゃんの役を、べたっと演出したかもしれません。しかし塚原さんは何も言わなくても、私たちが思うリアルな女関係としてさらっと演出してくれました。

■「キュルッとした子」

野木さん:3話では岡崎体育さん演じる変質者に女子高生が拉致される場面があるんですが、塚原さんは「絶対におかずにされないように撮る」と言っていて、全面同意でした。エロとして見えてしまうと、訴えたいことと真逆の効果を生んでしまうので注意しないといけない。

――女性の形容には、安易にルッキズムを助長しない配慮も見られた。例えば綾野剛演じる伊吹が好きな女の子のタイプは「キュルッとした子」。

野木さん:毎回どういう言葉にしようかなと考えるんですよね。ルッキズムとは話が逸(そ)れますが「逃げ恥」では古田(新太)さん演じる沼田に、新婚の夜の営みについて「毎日パッションしてないの?」って言わせたんです。直接的に言わずに、どうしたら表せるのか。伊吹はかわいらしい子は好きだけどそれは別に顔とかではない。その雰囲気を表す伊吹らしいワードはなんだろう、と考えました。

 MIUは小中学生の視聴者もすごく多かった。そういう子たちに当たり前のこととして伝わっていくといいなと思います。

(構成/編集部・高橋有紀)

AERA 2020年11月2日号