共感は、「情動的共感」と「認知的共感」の2つに分けることができるというのが心理学の定説だそう(他にもいろいろな分け方、考え方があるようですが)。わかる~!と感情をくみ取るのが「情動的共感」で、相手の視点に立って理解するのが「認知的共感」です。

 コロナ前、私が受け取っていた共感のほとんどは「情動的共感」でした。ママ友同士で集まって、夫の愚痴や子育てのイライラ、育児と仕事のバランス問題なんかを共有し、みんなで「わかる~!」と言い合ってストレスを発散していたのです。それも楽しいし、気持ちが落ち着いたのですが、その気持ちは「認知的共感」でも満たされることがわかりました。むしろ、認知的なほうが気持ちが前向きになることもわかりました。

 ママ友同士、夫の愚痴で盛り上がっていると、夫≒世の中の男性がすべて敵に思えてきます。誰かの言葉が引き金となって「そういえばうちの夫もそうだった」と思いだし怒りを感じたり、「なんてひどい話だ」と共感が高じて会ったこともない友だちの夫を憎んだり。自分と同じ視点の人とだけつながって意見交換していると、逆の立場にいる人間が悪者のように思え、怒りや悲しみ、憎しみの感情が増幅されていくような気がするのです。

 カウンセリングではそれがありません。自分の感情をカウンセラーの視点を通じて認知的に見つめることができるので、今後の対策が立てられ、気持ちが前向きになります。無料だからという非常に志の低い理由で出かけたカウンセリングでしたが、始めてよかった。通って初めて、自分がメンタル的に疲れていることもわかりました。

 このようにさまざまな利点のあるカウンセリング。少しでもメンタルに不調を感じるかたはぜひ受けてみてくださいませ!! ──と綺麗にまとめたいところですが、どうもそう単純に言えない気がしています。というのも、アメリカと比べると日本でカウンセリングを受けるのはハードルが高いように見えるからです。
 

次のページ
アメリカでは心理的ハードルが低い