舞台「おかしな二人」は10月25日まで東京・シアタークリエで公演中、11月5~8日に大阪・梅田芸術劇場で公演予定(写真/東宝提供)
舞台「おかしな二人」は10月25日まで東京・シアタークリエで公演中、11月5~8日に大阪・梅田芸術劇場で公演予定(写真/東宝提供)
花總まり(はなふさ・まり)/1973年、東京都生まれ。宝塚歌劇団雪組・宙組の娘役トップとして活躍し、2006年に退団。その後、舞台などで活躍。読売演劇大賞優秀女優賞、菊田一夫演劇大賞など受賞(写真/東宝提供)
花總まり(はなふさ・まり)/1973年、東京都生まれ。宝塚歌劇団雪組・宙組の娘役トップとして活躍し、2006年に退団。その後、舞台などで活躍。読売演劇大賞優秀女優賞、菊田一夫演劇大賞など受賞(写真/東宝提供)

 花總(はなふさ)まりさんが舞台「おかしな二人」に出演中だ。元宝塚歌劇団娘役トップ、舞台では複数の受賞歴を持つが、意外にもコメディーは初挑戦だという。AERA 2020年10月26日号では、花總まりさんに舞台再開の喜びや意気込みについて話を聞いた。

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 劇場に観客の笑い声が戻ってきた。舞台「おかしな二人」は政府によるイベント規制緩和により、これまで前後左右を空けていた客席を開放した。

 物語は花總さん演じるフローレンスが夫に離婚をつきつけられ、大地真央さん演じるバツ1でいまは独身生活を謳歌するオリーブのアパートに転がり込むことで始まる。

 花總さんは宝塚歌劇団の娘役のトップを最長の12年3カ月務め、その後はミュージカル「エリザベート」「マリー・アントワネット」などのヒロインとして活躍してきたが、コメディーは初挑戦だ。

 史実に基づく物語は、みなさんのなかにそれぞれイメージがあるので、それはそれで難しいんです。その点、フローレンスは自由に演じることができる楽しさもありますね。初めてのコメディー作品なので、楽しさとともに、セリフの多さや間の取り方などに難しさを感じています。最近ようやく心地よいテンポ感をつかめてきたかな、弾むような会話のキャッチボールができるようになってきたかな、という感じですね。

 フローレンスはきれい好きで神経質、用心深くて慎重派。対してオリーブはおおざっぱな楽天家。二人の性格の違いが巻き起こす騒動や、共同生活における女同士の本音のぶつかり合いが見ものだ。

 大地真央さんの間の取り方やテンポ感をものすごく勉強させていただいています。フローレンスはいろいろな面で極端なキャラクターなんです。でも演じているうちに日常のいたるところで「あれ? 私ってフローレンスっぽくなってきた?」と感じることがあります。掃除を妙に細かいところまでするようになったり、これまで「まあ、なんとかなるかな?」とやり過ごしてきたことも「いやいや、そこはキッチリしておこうよ」となったり。完全に影響されていますね。

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