日本のガールスカウト運動100周年を記念する行事「国際ガールズメッセ」のプレイベントをオンラインで視聴する佳子さま/10月10日午後、秋篠宮御仮寓所で(写真:宮内庁提供)
日本のガールスカウト運動100周年を記念する行事「国際ガールズメッセ」のプレイベントをオンラインで視聴する佳子さま/10月10日午後、秋篠宮御仮寓所で(写真:宮内庁提供)

 ある時は「誰もが人生の選択肢を増やせる」ようにと願い、ある時は「姉の一個人としての希望がかなう」ことを願う。伝統や前例を超え、言うべきことを口にする佳子さまがまぶしい。AERA 2020年10月26日号から。

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 ジェンダー平等とは何だろう。説明しようとすると、難しい。

 SDGsが定める目標の一つなので、その解説を見る。

「SDGsが目指すのは、男性も女性も社会的に平等であること。男性だから、女性だからと様々な差別を受けることのない社会をつくる努力が必要です」

 なるほど。男性と女性のことはこれでわかる。でも、今やLGBTを外して考えることはできないはず。となると……。

 そんなモヤモヤを解決してくれる言葉に出会った。秋篠宮家の次女・佳子さま(25)が10月10日に語ったこんな言葉だ。

「誰もが人生の選択肢を増やすことができ、自らの可能性を最大限いかしていけますように、そして、それが当たり前の社会になりますように、と願っております」

 日本でのガールスカウト運動100周年を記念する行事「国際ガールズメッセ」のプレイベントに寄せたビデオメッセージだ。佳子さまは、日本のガールスカウトが「ジェンダー平等」の実現を目標にしていることに触れ、そう述べたのだ。

 性別にとらわれず、誰もが可能性を広げられる社会。それが当たり前な社会──ジェンダー平等の目指すところが、胸にストンと落ちた。この言葉を報じた記事を読み、励まされる気持ちになった私、59歳。性も年齢も超えて響く言葉を発した佳子さま、とても凛々(りり)しい。

 佳子さまは美貌とダンスがつとに有名だが、実は凛々しく強い人だ。そして、それは「天皇家の次男の次女」だからだと思っている。そのことは後述するとして、その前にもう一つ佳子さまのメッセージを紹介する。

■優雅な手話を披露

 9月27日、「第7回全国高校生手話パフォーマンス甲子園」の開会式にビデオで寄せたあいさつ。手話を披露しながら、このように述べた。

「今年は新型コロナウイルス感染症の影響で、昨年までのような練習は難しかったことでしょう。そのような中でも、たくさん話し合って知恵を絞り、お互いに助け合いながら練習をされたのではないでしょうか。皆さまのあふれる思いと熱意のこもった舞台は、きっとたくさんの人の心に届くことでしょう」

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矢部万紀子

矢部万紀子

矢部万紀子(やべまきこ)/1961年三重県生まれ/横浜育ち。コラムニスト。1983年朝日新聞社に入社、宇都宮支局、学芸部を経て「AERA」、経済部、「週刊朝日」に所属。週刊朝日で担当した松本人志著『遺書』『松本』がミリオンセラーに。「AERA」編集長代理、書籍編集部長をつとめ、2011年退社。同年シニア女性誌「いきいき(現「ハルメク」)」編集長に。2017年に(株)ハルメクを退社、フリーに。著書に『朝ドラには働く女子の本音が詰まってる』『美智子さまという奇跡』『雅子さまの笑顔』。

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