何度も経営危機から復活してきたレオパレス。今回も不動産事業で実績のあるファンドが救済に名乗りを上げた/東京都中野区(撮影/吉松こころ)
何度も経営危機から復活してきたレオパレス。今回も不動産事業で実績のあるファンドが救済に名乗りを上げた/東京都中野区(撮影/吉松こころ)

 違法建築問題で経営危機のレオパレスが、土俵際で踏みとどまった。ソフトバンクグループ子会社の米投資ファンド「フォートレス・インベストメント・グループ」から総額572億円の出資と融資を受けて経営再建を目指すと発表したのだ。不備のある建築の改修には「1千億円かかる」との声もあり、まだまだ予断を許さない状況ながら、専門家からは明るい見通しも。AERA 2020年10月19日号では、レオパレスの再建について取り上げた。

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 不動産とファンドに詳しいコンサルタントの西村明彦さんは再建の見通しをこう語る。

「なんだかんだと言っても管理する部屋の数は魅力です。ファンド側も様々なシミュレーションをしていると思いますが、そこには確信があるはずです」

 57万室というレオパレスの管理物件数は、違法建築が発覚する以前は賃貸住宅業界で長らく2位を維持していた。新規の建設を縮小している現在は順位を下げているものの、それでも業界5位と大手の一角であるのは間違いない。

 また、これだけ社会問題となり入居率が低迷していても、7月末時点でおよそ45万世帯が入居中だ。入居時にかかる費用の安さや家具家電がついている気軽さは、転勤者が多い法人からも高く評価されてきた。

 外国人や非正規雇用、住宅弱者と言われるシングルマザーや高齢者など、経済的な背景から同社物件を必要とする層は一定数いるとみられている。入居者の中には、違法建築問題が世間を騒がせた真っただ中でさえ、「このまま住み続けたい」と退去を拒んだ例もあったという。

 西村さんは「問題も多いが、しぶとい会社であることは間違いない」と話す。

 確かに、レオパレスはこれまでも倒産危機とV字回復を繰り返してきた。

 不動産仲介のミヤマとして創業し、バブル期に都市部のアパート販売で急成長。総量規制で大打撃を受けるが、地方進出と地主向け営業で乗り切った。その後賃貸管理に目を付けて利益を拡大するも、グアムのリゾート開発で巨額損失を出し、91年3月期の有利子負債は3600億円。当時の社員は「みんな潰れると言っていた」と話す。このときは新商品の超低コストアパートの大ヒットで復活。売れに売れたそのアパートこそ、違法建築が指摘されたタイプだ。

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