アメリカの自己主張力をはぐくむ教育法 子どもに選ばせる・その選択を否定しない

帰国ママのバイリンガル子育て奮闘記

2020/10/13 07:00

「決まりなんだから、言われたとおりにしなさい」と、私なら注意していたでしょう。しかし先生は、こう言いました。「そうなんだ、やる気があるのね。じゃあちょっと難しいかもしれないけど、5つ使って曲を作ってみようか」

 曲は、最後の音だけC(ド)に指定されていました。最後がドだと、それまでがはちゃめちゃでもなんとなくハ長調の曲に聞こえる気がしないでもありません。しかし娘は、またも無茶な主張をしました。「C(ド)じゃなくて、A(ラ)で終わらせたい」と言うのです。

 思わず「ワガママばかり言ってないで、言われたとおりにしなさい」との言葉が喉を出かけました。だって、ピアノ初心者の4歳児に深遠な考えがあってそう主張しているとは思えません。曲の成り立ちを教えるためにも、教本どおりにしたほうがいいに決まっている。私はそう思ったのですが、先生はこう言いました。「実は私もAのほうがいいかなと思ったんだ。じゃあ書き換えてみようか」。そして、教本に書かれたCの字を消し、Aにしてくれました。

 娘は大満足で自作の曲を弾きました。ドから始まってラで終わるメロディは、親の耳にはとても曲には聞こえない5音の羅列でしたが、娘の顔は達成感で輝いていました。

 そもそも教本には、「自分で曲を作ってみよう」という課題がひんぱんに登場します。ピアノを始めたばかりの初心者なんだから決められた音を決められたように覚えてなぞるほうが上達が早いんじゃないか、私が日本でピアノ教室に通っていたときはそうやって練習したぞ、なんて思ってしまうのですが、少なくとも初心者対象の場合、アメリカ流の練習法は指示遂行・反復練習・暗記とは対極にあるようです。

 学校の授業でも同じです。バーチャル学習用の宿題を見ると、「自分で考えてみよう」「自分で作ってみよう」という方向性の問題が多いことに驚かされます。「アルファベットのAから始まるものは何か考えてみよう」「おうちの中でくりかえしの柄になっているものを探してみよう」「〇△□の形を使って顔を作ってみよう」など。決まった答えがない分、採点や指導の労力がかかりますが、娘は実に楽しそうに課題をこなしています。

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