動画はフォートナイトの女性キャラクターが、近未来の独裁体制を描いたSF小説『1984』の世界で、明らかにアップルを揶揄した独裁者が映ったスクリーンにハンマーを投げつけるというもので、アップルによるスマホアプリ市場の支配を打開しようとするエピックの立場を表現したものだ。

 ただ、この動画は、1984年当時、コンピューター業界を支配していた米IBMを批判する目的で、アップルが作成したものが元ネタだ。つまり、市場支配を批判していたアップルが今度は支配する側に回ったことをエピックが逆手に取って批判しているというわけだ。

 エピックが手の込んだ動画でアップルへの批判キャンペーンを展開する目的は何なのか。ティム・スウィーニー最高経営責任者(CEO)は米ブルームバーグのインタビューで、中国ではアプリ市場がアップルやグーグルのアプリストアに寡占されておらず、その結果、アプリ間の競争が生まれているとして「競争が強い経済を実現する」と評価した。

 アップルやグーグルがアプリストア参加企業に課す30%の手数料率は儲け過ぎで、競争を阻害しているとも批判している。その上で、手数料率を12%に下げた自社の「エピックゲームズストア」で、より小規模なゲームメーカーのゲームの配信を支援することで、競争を促す姿勢を示している。(ライター・平土令)

AERA 2020年9月28日号より抜粋