齋藤:いつもイジられに来てるんだと思ってた。さっきも「パンダを飼いたい」って(笑)。

山下:私は飛鳥さんを尊敬しています、大先輩ですから。

齋藤:尊敬が見えないんだよね。

山下:尊敬してますよ~、なんでわかってくれないんですか?

齋藤:こっちのせいにしないで(笑)。

 齋藤は乃木坂46の1期生だが、山下と梅澤は乃木坂46が紅白歌合戦に初出場した翌年に加入した3期生。以前はほとんどしゃべることもなかったという。3人の距離感は、撮影を通じて縮まった。

梅澤:今回の映画でも、言葉を交わすというよりも、お互いのお芝居を見ながら合わせていく感じでした。それがすごくやりやすくて心地よかったです。

山下:作品の中に“友達”と“仲間”という言葉が出てくるんです。乃木坂46というグループにいる中で、毎日のようにメンバーと触れ合っているんですけど、私はメンバーのことを“友達”と思ったことはなくて。仕事として一緒に作品を作り上げていく同志というか、戦友のようなものなので。もちろん、お互いのことを思いやり、支え合う気持ちも持っているけど、それぞれが頑張る力を持っていて、お互いに高め合っていく、みたいな感じです。絆に甘えないのが“仲間”なんじゃないかなって思います。

■浅草は「格好いい」

 齋藤は今年1月、映画がクランクアップした直後のブログに、「私は浅草氏を見習います」とつづった。その真意をこう語る。

齋藤:浅草はかなり変わった人で、最初は「演じられるのかな」とも思いました。だけど、信頼した仲間に対しては、自分の中の強さも弱さも全部さらけ出すことができる人。その潔さがいいなと思ったし、自分の芯をしっかり持っているから、世間の人が言いがちな「普通はこうだよ」というのが通じない。ちゃんとこだわりを持って生きていて、自分の好きなことを突き詰めているんです。そこも逆に格好いいと思いました。私が生きてきた22年間には、まだ一度もそういう自分はいないので、すごく憧れます。自分もいつかそういう人になれたらいいなと思っています。

(編集部・藤井直樹)

AERA 2020年9月28日号