このうち意識的に動かせる「随意筋」は骨格筋だけで、心筋と平滑筋は、自分の意思で動かしたり止めたりできない「不随意筋」だ。たとえば心臓が止まったら死んでしまうが、心配は無用。心筋は、ぐっすり寝ている間も休まず働いてくれているからだ。

 一方、骨格筋は、脳からの指令を受けて動く。たとえば脳が「右腕を素早く曲げろ」という指令を出すと、指令は運動神経を通して右腕の「上腕二頭筋」に伝わり、筋肉が素早く縮む。縮むときに生まれた力が腱に伝わり、腱とつながる骨が動いて、右腕が曲がる。

 筋肉は自分で伸びることができないので、「上腕二頭筋と上腕三頭筋」「大腿四頭筋とハムストリング」のように、反対方向に引っ張る筋肉とペアになって動く。上腕二頭筋が縮んで曲がった腕は、上腕三頭筋が縮むことで元に戻る。

 男性は、男性ホルモンの影響で、思春期にさしかかると三角筋や僧帽筋を中心に骨格筋が発達してくる。このため、一般に、男性は女性に比べて骨格筋の量が多い。

 骨格筋の発達のピークは20代半ばで、それ以降、トレーニングをしない人の筋肉は徐々に減っていく。大腿四頭筋の場合、80歳で約半分になってしまうという。筋繊維が萎縮して細くなるだけでなく、数そのものも減っていくからだ。

 日常生活のあらゆる行動は、骨格筋に依存している。だから、アスリートをめざす人でなくても、子どものころから骨格筋を鍛え、体の土台をつくっておくことがとても重要なんだ。

※月刊ジュニアエラ 2020年10月号より

ジュニアエラ 2020年 10 月号 [雑誌]

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AERA編集部
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