全米制覇の大坂なおみ 「偉大なる兄」から受け継いだ不屈の精神 (1/2) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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全米制覇の大坂なおみ 「偉大なる兄」から受け継いだ不屈の精神

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稲垣康介AERA
全米オープンを制した大坂なおみ選手(写真/gettyimages)

全米オープンを制した大坂なおみ選手(写真/gettyimages)

 全米オープンを制した大坂なおみ。1月に亡くなったコービー・ブライアントさんから大きな影響を受けた。大坂は訃報に際し、「多くのことを教えてくれてありがとう」とSNSにつづっていた。AERA 2020年9月28日号の記事を紹介する。

*  *  *
 有言実行。自身の言霊の力に後押しされた快進撃だった。

 大坂なおみ(22)が全米オープン1回戦に勝った後だった。米国で黒人が警官らの行為で命を落とす事件が続く中、犠牲者の名前を記したマスクを着けて、こう宣言した。

「マスクは7枚用意している。悲しいことに7枚では(犠牲者全員の)名前を出すには足りない」「決勝まで進み、7枚すべてを見せられたらうれしい」

■昨夏の応援席の3人

 その7人の中で最も古い悲劇は8年前、トレイボン・マーティンさんの事件だ。フロリダ州の17歳の少年は帰宅途中、自警団員の白人に撃たれた。大坂はSNSに思いをつづった。

「彼の死はとても鮮明に覚えている。当時私は子どもで、ただ恐怖に感じた。関係ない情報かもしれないけれど、私は数年間フード付きパーカーを着なかった。“不審に見える”と思われたくなかった。彼の死が最初の事件でないのはわかっているけれど、私には起きていることに目を開かされた出来事だった」

 当時、14歳で同じ州に暮らしていた。ハイチ出身の父と、日本人の母の間に生まれ、褐色の肌を持つテニス少女の恐怖が、服装にも神経をとがらさせた。

 今年5月、米ミネアポリスで黒人男性、ジョージ・フロイドさんが白人警官に首を押さえつけられ、息絶えた事件以降、大坂は鋭い言葉でつぶやき始めた。

「自分の身に起こったことでないからといって、何も起こっていないわけではない」

 傍観は現状容認だと訴えた。

 ツアーで世界を駆け巡るのが「日常」の大坂だったが、コロナ禍で自宅待機となり、社会問題にも目を向ける余裕ができた。自己啓発本でも有名なジム・ローンが残した言葉がある。

「あなたは最も多くの時間をともに過ごす5人の平均である」


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