ヤフーで働き方改革を進める湯川高康執行役員。同社の新制度がコロナ後の「ニューノーマル」になるかもしれない(写真:ヤフー提供)
ヤフーで働き方改革を進める湯川高康執行役員。同社の新制度がコロナ後の「ニューノーマル」になるかもしれない(写真:ヤフー提供)
95%が在宅のため平日の日中もほとんど人が通らないヤフーの本社エントランス。在宅化で仕事の効率も向上したという/東京都千代田区(撮影/写真部・張溢文)
95%が在宅のため平日の日中もほとんど人が通らないヤフーの本社エントランス。在宅化で仕事の効率も向上したという/東京都千代田区(撮影/写真部・張溢文)

 ヤフーが働き方の自由化を推し進めている。オフィスに出勤する意味を見直すことで、居住圏の縛りをなくした全国への地方移住も見えてきた。AERA 2020年9月14日号で掲載された記事から。

【写真】95%が在宅のためほとんど人が通らないヤフーの本社エントランス

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 ヤフーの改革は働き方にとどまらず、社員の暮らし方や生き方にも影響を及ぼしそうだ。

 ヤフーは16年、社員の「住む場所の選択肢を増やす」として通勤交通費を補助し、新幹線通勤を導入した。ただ「会社から呼び出しがある場合は午前11時までに出勤しなければならない」というルールがあるため、東京本社所属の場合、実際には新潟県や福島県までが居住圏の限界だった。

 だが執行役員の湯川高康さんは、今後オフィスをどう位置付けるかによっては地方移住の選択も見えてくる、と考えている。

「今後さまざまなトライアルを通じて、そもそもオフィスに出勤する意味って何だっけ?というところまで煮詰めてみるつもりです。本当に必然性がないんだったら、もっと振り切って、どこに住んでもいいよ、というふうにするかもしれません」

 ヤフーでは育児や介護・看護など一定の条件を満たす場合に週休3日も選択できる。今後はさらに選択の幅を広げることも検討していくという。

 一方で湯川さんは「自由と責任はセットです」とも強調する。働き方の自由度は増すが、これまで以上に結果重視の態勢を強化するという。

「プロセスよりもパフォーマンス重視です。日々の業務進捗や成果は自分から報告しなければ評価されない、説明責任も大事な要素になる、と社員に意識づけを図っています」(湯川さん)

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渡辺豪

渡辺豪

ニュース週刊誌『AERA』記者。毎日新聞、沖縄タイムス記者を経てフリー。著書に『「アメとムチ」の構図~普天間移設の内幕~』(第14回平和・協同ジャーナリスト基金奨励賞)、『波よ鎮まれ~尖閣への視座~』(第13回石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞)など。毎日新聞で「沖縄論壇時評」を連載中(2017年~)。沖縄論考サイトOKIRON/オキロンのコア・エディター。沖縄以外のことも幅広く取材・執筆します。

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