「夫に話しても共感してもらえない」「妻にアドバイスすると嫌そうな顔をされる」……。なぜ、夫婦の対話ではこうもすれ違いが多く見られるのでしょうか? 夫婦がわかり合えないなら、コミュニケーションの改善が必要です。「AERA with Kids秋号」(朝日新聞出版刊)では、著書『妻のトリセツ』で有名な、感性アナリスト黒川伊保子さんに取材。夫婦の対話がすれ違う原因や夫婦の接し方のコツなどをうかがいました。

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「子育て中の夫婦は、脳の使い方が真逆。だから話がズレて決裂しやすいんです」と言うのは、男女の脳の使い方の差異に注目する黒川伊保子さん。人は誰でも、問題が起きると「ゴール指向問題解決型」「プロセス思考共感型」のどちらかの脳回路をとっさに選ぶのだそう。

それぞれの脳の使い方の特徴は以下のとおりです。

<男性に多い、ゴール指向問題解決型>
◎感情を排して目標に向かう
◎オチのないおしゃべりが苦手
◎普段はぼんやりしているように見える

 明確な目標設定をし、最速で問題解決をするための思考回路。優れた危機管理能力を持つので、つい「批判・指摘」が多くなる。空間認知能力を駆使し「遠くの大きなゴール」を捉えるのは得意だが、「目の前の人の気持ちを察する」「こまごまとした話を聞く」のは苦手。有事に備え、普段は「ぼんやり」している。

<女性に多い、プロセス思考共感型>
◎共感し合うことによって気づきを生み出す
◎過去の記憶を元に危機を回避する
◎感情や気分と記憶が結びついている

 他人と記憶を共有し、共感することで情報を得るという脳の使い方をする。感情を引き金にして記憶を再体験することで、「より深い気づき」を得ることができる。そのため、対話において「相手の気持ち」を重要視する。何年も前のできごともリアルな感情とともに思い出せる「蒸し返しの天才」でもある。

 黒川さんはこう続けます。

「どちらかというと外で仕事をする時間が長い父親は『問題解決型』の脳を使い、周りと助け合い育児をする母親は『共感型』の脳を使うことが多くなります」

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玉居子泰子
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