野田聖子(のだ・せいこ、60)/自民党党・政治制度改革実行本部長。総務相、衆院予算委員長などを歴任。障害のある長男の子育て中で「鉄母」を自称(撮影/写真部・掛祥葉子)
野田聖子(のだ・せいこ、60)/自民党党・政治制度改革実行本部長。総務相、衆院予算委員長などを歴任。障害のある長男の子育て中で「鉄母」を自称(撮影/写真部・掛祥葉子)

 今回も女性候補ゼロの自民党総裁選。野田聖子元総務相は早々に出馬を見送った。女性が首相への挑戦さえ果たせない理由は。足りないものは何なのか。AERA 2020年9月14日号では、野田元総務相が自民党総裁選について語った。

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──総裁選には必ず出ると常々おっしゃっていましたが、今回は見送りました。なぜですか。

党員投票が見送られ、自由で開かれた総裁選ではないからです。国会議員ではなく、党員という普通の人々の票あってこその私ですから、今回出てもバットを持たずにバッターボックスに立つようなものですから。

■20人の推薦人目指して

──前2回の総裁選は出馬を模索しつつ20人の推薦人が集まらず断念。今回、出馬を目指したら推薦人は集まりましたか。

 派閥を作るために議員になったわけではないけれど、ゼロからのスタートだった1回目の挑戦以降色んな人と人間関係を築き、今回は十数人のコアメンバーと政策グループの入り口ぐらいまできていました。結果的にどうなったかはわかりませんが、10人ほどから始めた前回より前進できていたのは確かです。

 ただ、私個人なら落選しても、推薦人が集まらず馬鹿にされても全然構わないのですが、応援してくれる人たちの名誉を傷つけたり、新総裁の下で何らかのペナルティーを受けたりする可能性がある。特に今回の選挙方式では、総裁選後に私が一定の力を持ってみなさんを守れるという保証が無い中で、動かないことを決めました。

――同じ無派閥の菅義偉官房長官が、各派閥から広く支持を集め当選確実の状態です。ご自身との差はどこにあったのでしょうか。

 そうですね……。当然、官房長官という重職を7年半も続けてこられたということは大きいと思います。派閥以上の人間関係を作ってこられたのでしょう。ただ、それだけではない。今回の総裁選では本来、石破茂さんが軸になるはずだった。でも「それはイヤだ」と思う人たちもたくさんいて、その人たちが対抗馬として菅さんを担いだ。そういう流れができたということが大きいと感じます。

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