撮影中は監督を道標(みちしるべ)に、自分を信じてやるしかない。けれど、やればやるほど難しくなっていく。その時々のベストを尽くしていると言い切ることはできるのですが、できあがった作品を観ると、「自分はもっとこうできたのかもしれない」と反省することも多い。お客さまにはもちろん観てほしいのですが、自信を持って「この映画を観て」とはなかなか言えないです。

──関ジャニ∞としても、役者としても、両方でご活躍です。それぞれの活動で、どうバランスをとっているのでしょうか。

 グループがあることで、いつも、どこか心のなかに帰る場所があるという、安心感みたいなものがあります。だからこそ、“二刀流”で作品に挑めるのかもしれないですね。

 丸山(隆平)は以前行定監督と仕事をした経験があるので、撮影していることは話していました。でも、メンバーに「自分が出ているからこの映画を観て」なんて言ったことは一度もないです(笑)。

──これから、演じてみたい役はありますか。

 どんな役でも、役を頂けるのは幸せだなと思います。今回、「映画っていいな」と改めて感じました。それは撮影中も、撮影が終わってからも感じていることです。「映画は監督のもの」という言い方をすることがありますが、僕自身に「こうした表現を見せたい」という強い思いが必ずしもあるわけではないので、監督と意思疎通をしながらつくっていくことに喜びを感じました。もちろん、台本を読んで気持ちを準備して撮影に臨みますが、映画は監督の気持ちや表現したいことがよりストレートに反映されるという意味で、僕のようなタイプとは相性がいいのかもしれません。

 音楽活動もお芝居もできる限り、全力で取り組みたいという気持ちでいます。でも、その時々の年齢だからこそできることがきっとある。これから演じる役も、お芝居そのものも、20代の頃とは変わってくるかもしれない。そう思うと楽しみな自分がいます。

(ライター・古谷ゆう子)

AERA 2020年9月7日号