【武漢書簡09】新型コロナウイルス「数字」を操作した中国政府への怒り (2/3) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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【武漢書簡09】新型コロナウイルス「数字」を操作した中国政府への怒り

連載「私はウイルス——武漢ロックダウン日記」

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女性の医療スタッフは、防護設備が乏しく、勤務時間は長く家に帰れず、仕方なく自ら美しい黒髪を短く切った(インターネットから)

女性の医療スタッフは、防護設備が乏しく、勤務時間は長く家に帰れず、仕方なく自ら美しい黒髪を短く切った(インターネットから)

「船倉病院」――武漢では病床が不足し、多くの大型体育館内にベッドを並べ臨時の「船倉病院」とした(インターネットから)

「船倉病院」――武漢では病床が不足し、多くの大型体育館内にベッドを並べ臨時の「船倉病院」とした(インターネットから)

 頭にくるのは、封鎖前の54日間同様封鎖後も、政府はこのような厳しい災難に直面してなお人民を甘く見て、数字を操作し、つゆも態度を変えないことだ。しかもこの私個人も、被害者でありながら依然として習い性のように自己解読をするばかりで声を上げることはない。

 怒りが収まったあと、さらに慚愧の念を抱かせたのは、午後に届いたあるニュース――湖北省の省委員会書記と省長、武漢市委員会書記の3人がともに免職となり、首をすげかえられたという発表だった。私は、この日の新感染者爆増と結び付け、やはり流行は確かに一つの転換点を迎えたと判断した。

 なぜなら新任の幹部は必ず短時間のうちに局面を好転させ、このウイルスとの戦いに勝利しなければならないからだ。この時点で人事異動を発令するからには、彼らには転換点が見えているのだ。さもなければ悪化が懸念される、制御を失いかねない事態に習近平の側近を投入する必要はまったくない。

■臨床投薬の報道がない

 2月6日から武漢でレムデシビルの臨床投与開始。大きな注目を集めるこの薬は、武漢の人々の命を救う可能性のある、ひとすじのわらのような大事な手がかりと言っていい。

 ところが、今に至っても臨床投薬の進展についての報道がない。2月8日から10日にかけて、レムデシビルが重症患者に対して非常に有効だという情報を医療関係者のパイプを通じていくつも得たにもかかわらず、政府およびニュース媒体はなぜ公開しないのだろうか? たとえ薬効が十分でなくても、全市民が知りたがっているのだから事実に基づく発表をするべきだ。

 この疑問と今日発表された人事が結び付いて、私はさらに確信を強めた。数日と待たずレムデシビルの治療効果が発表され、ひょっとすると大量生産の開始までも告げられるのではないか、と。その後は新増数がしだいに下降、治癒した患者数は増え続け、治癒者の数はゆっくりと新増数を上回るようになるだろう。そうやって新型ウイルス流行との戦いは新しい幹部の指導のもとで勝利に終わる……。

 ここまで書いて、私はまた自分の内なる邪悪さ感じた。私はなぜ彼らの考え方や段取りを熟知しているのか。そうだ、これこそ私がこの文章を書こうとするエネルギーの源だ。私も一つのウイルスなのだ。


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